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マウス・オブ・マッドネス (1994)

IN THE MOUTH OF MADNESS/JOHN CARPENTER'S IN THE MOUTH OF MADNESS

監督
ジョン・カーペンター
  • みたいムービー 49
  • みたログ 213

3.56 / 評価:88件

重層構造の虚構の中に陥り正気を失う恐怖

  • yam***** さん
  • 2021年6月10日 8時01分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

見た目のキモさや不意打ちの演出で怖がらせるホラー映画は大人になると怖くなくなってしまいますが、この映画は何度見ても怖いです。
なにが怖いかと言いますと、キレ者でクールでAmerica the Beautifulを口ずさむような愛国者、そんなイケメン主人公トレントが正気を失っていくさまです。
保険金詐欺の調査員トレント(詐欺を暴く男)vs人気ホラー作家(大衆を欺く男)の構図ですが、理性代表のトレントが完敗します。

何がリアルで何がフィクションなのか
自分は誰かの書いた物語の登場人物に過ぎないのではないだろうか

そういう誰でも一度は感じたことがある不安をギリギリと増幅させる脚本と演出と演技は見事です。
毎日どっぷりとフィクションに浸かって生活を送る自分も、もしかしたらもうすでに正気を失っているのかも…そんな根源的な恐怖を味わわせてくれます。
しかも映画を観終わった後まで、まだ夢から醒めきっていないような後味の悪さが尾を引きます。

「皆が現実と言えば現実なのよ
常軌を逸していてもそれが多数なら正気になる
そしたらあなたの方が病院送りになるわ
見慣れたものが全て消えてしまったら
最後の一人は寂しいわ」

劇中で作家の担当編集者リンダがトレントに向けて言うセリフ。
歴史上繰り返されてきた、「真実を言うものが大衆によって迫害される」という恐怖を想起させます。
宗教を含む、あらゆる原理主義という虚構は一旦暴走すると止まりません。
「フィクションは人間の正気を奪う」という本作のテーマ、しかも理性が敗北するという構図は単なるホラー映画の枠を越えて、自分たちが生み出したフィクションに自分たちで絡み取られてしまった私達の姿を突きつけてきます。


以下は英字サイト In the Mouth of Madness: 21 Things You May Not Knowの意訳引用です


1.自転車の新聞小僧はアナキン・スカイウォーカー
2.本作はジョン・カーペンター黙示録3部作の一つ。残りはThe Thing, Prince of Darknessの2本
3.トレントが泊まったモーテルのTVに流れる映像はジョン・カーペンターが子供の頃好きだった「Robot Monster」
4.リンダの頭が上下逆になるシーンはリンダにマスクをかぶせて撮影された
5.精神病院として使われた建物はトロントにある貯水施設
6.クトゥルフ神話のモチーフが随所に見られる
7.ジョン・カーペンターは1983にChristineの監督を務めており、元々スティーブン・キングと友達。本作のサター・ケインはキングをモデルにし、Hobb’s Endはキングが創造した架空の町、Castle Rockを参考にしている。しかし劇中では「ケインの方がキングよりずっと売れている」といじられた。
8.本作のあちこちにラブクラフトからの引用が見られる。ホテルの名前Pickmanはその一例。
9.トレントを追いかけるクリーチャー達は全体を一つの壁Wall of Monstersとして、車台の上に乗せて操作された。スタッフの一人は足をひかれ病院へ運ばれた。
10.Hobb’s Endは、スティーブン・キングが1980年に発表した小説、Crouch Endと多くの類似点がある。
11.トレントが精神病院の個室に入れられ「俺は正気だ」と叫ぶシーンで、隣の部屋で「俺も正気だ!」と叫んでいるのはカメオ出演のジョン・カーペンター自身
12.正気を失う恐怖に焦点を当てていること、At the Mountains of Madnessにちなんだタイトルなどから、本作はキングよりラブクラフトの影響が強い
13.劇中ではニューヨーカーの設定のサム・ニールだが、発音はニュージーランド訛り
14.サター・ケイン役にはルトガー・ハウアーが候補にあがっていた
15.ウレン博士役の デビッド・ワーナーとサム・ニールはどちらもオーメンに出演歴がある
16.サイモン役の俳優Wilhelm von Homburgはゴーストバスターズ2でVigo役を演じている
17.数多く出現するクリーチャーは着ぐるみ、SFX、大きな「壁」を組み合わせて演出され、操作に30人を要した
18.トレントが入る映画館のポスターのクレジットには、John Trent, Linda Styles, Jackson Harglowの3名以外は実際のスタッフ名が使われている
19.サター・ケインがクリーチャーをこの世に出現させるシーンはオリジナル脚本では「町全体が異世界に吸い込まれる」となっていたがコストの問題から「自分を紙のようにめくる」シーンへ変更となった
20.Hobb’s Endは地図の位置ではニューハンプシャーのルードン近傍
21.「俺の好きな色は青だ」というサター・ケインの言葉通り、クローズアップの俳優の目はみんな青い

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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