ここから本文です

魔術師 (1958)

ANSIKTET/THE FACE/THE MAGICIAN

監督
イングマール・ベルイマン
  • みたいムービー 4
  • みたログ 55

3.78 / 評価:23件

魔術師はカネが欲しくて「魔術師」を演じた

  • hir***** さん
  • 2020年8月2日 13時15分
  • 閲覧数 25
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

(1)「魂」(心)は生きている間、存在するが、死ねば「魂」(心)も存在しなくなる!
魔術師の一座の話だ。魔術師ヴォーグレル、助手(妻)アマン、口上係チューバル、魔女役アガタ、御者、雑用係等からなる。馬車での移動の途中、役者ユーハンを助ける。だが彼は「死にたい」と言う。「舌と性器を切り取ってくれ。体の汚れをきれいにして魂を解き放ちたい」と言って死ぬ。
《感想》「魂」(心)は生きている間、存在するが、死ねば「魂」(心)も存在しなくなる。死後「魂を解き放つ」ことなどありえない。人は「身体」は土になり、「魂」(心)は虚無となる。
(2)「今を楽しむ」現実主義者!
口上係チューバルは「今を楽しむ」、「未来に興味ない」と言う。彼は、現実主義者だ。口がうまい。世慣れている。
《感想》チューバルは目端が利く。「生きる力」がある。やがて彼は、魔術師の一座に見切りをつけ、領事の館の女中頭と一緒になる。賢い。「髪結いの亭主」だ!
(3)「魔術を認めるか認めないか」の賭け!
領事と警察署長の「魔術を認めるか認めないか」の賭けのため、ヴォーグレル魔術一座は拘束される。立会人として医者も参加した。魔術一座は動物磁気(動物の体を動かす磁気力)、交霊術、催眠術、魔術をこれまで披露してきた。領事は「魔術」を信じ、警察署長と医者は「科学」の立場から、魔術を信じない。
(4)「魔女」は媚薬等、様々の薬を売ってカネを稼ぐ!
魔女役アガタは、魔術一座に加わるだけでなく、媚薬等、様々の薬を売ってカネを稼ぐ。彼女は、「今は魔女が信じられなくなって困る」と言う。信じてもらえないと、魔術一座の人気も落ち、食っていけない。やがて彼女は、一座を離れる。
(5)「魔術(催眠術)」が警察署長の妻、また御者にかけられ、効果を示した!
ヴォーグレル魔術一座は領事、警察署長、医者の前で、魔術を披露する。だが(ア)魔術の仕掛けが明らかになり、馬鹿にされる。(イ)ところが「魔術(催眠術)」が警察署長の妻、また御者にかけられ、効果を示した。「魔術」が嘘でないと証明される。
(6)役者ユーハン
死んだはずの役者ユーハンが、生き返る。仮死状態だったのだ。出現した彼の姿を見た一座の雑用係たちは、「幽霊が出現した」と震え上がる。
《感想》役者ユーハンは仮死状態から自然に蘇生した。ただしすぐに再び死ぬ。今度は本当に死ぬ。Cf. 墓場から蘇るドラキュラは仮死状態からの蘇生だとの説がある。
(7)魔術師ヴォーグレルが、検視によって解剖され切り刻まれる!
領事、警察署長、医者の前で、魔術を披露していた魔術師ヴォーグレルが、突然死ぬ。(実は死んだふりをしていた。)翌日、彼は医者の検視によって解剖され切り刻まれる。「魔術師ヴォーグレルが切り刻まれた」と、医者は当然思っている。ところが切り刻まれたヴォーグレルが、鏡に映り、突然、手を出して医者の首を絞める。医者は驚愕する。
《感想》「科学」を信じる医者の敗北だ。「魔術」が証明された。死者の蘇生が起きたのだ。
(8)魔術師はそもそも死んでいなかった!
ところがここで魔術師が、姿を現す。魔術師はそもそも死んでいなかったのだ。彼は一座の者たちによって棺桶に入れられたが、トリックで棺桶の中にあった役者ユーハンの死体と入れ替わった。医者が解剖したのは、役者ユーハンの死体だった。この事実を知って、医者は、驚愕がおさまり平常心に戻る。
《感想》魔術師ヴォーグレルに逃げ場はない。(ア)役者ユーハンの死体を彼は運んでいたのであり、(イ)拘束された時点ですでに医療まがいの行為をしていたことが明らかになっていた。彼は犯罪者として捕まるだろう。
(9)いかさまが知れ渡り、犯罪者と認定されて、魔術師は乞食のようにカネを無心する!
翌日、魔術師は、領事の館を急いで去ろうとする。彼はカネがない。乞食のように、彼はカネを無心する。無様な魔術師。もはや彼は「魔術師」でない。いかさまが知れ渡り警察署長から「犯罪者」と認定された。彼は、カネを少しでも恵んで貰って逃げるしかない。
《感想》何という無様!非科学的「魔術師」は、科学の世に存在しえない。科学の勝利だ。
(10)皇帝陛下が「ヴォーグレル魔術一座を天覧したい」と望んだ!
魔術師一座は解体する。口上係チューバル、魔女役アガタは去る。しかも魔術師ヴォーグレルと助手(妻)は警察署長により逮捕される直前だ。ところが、なんと彼らは救われる。1846年、皇帝陛下が「ヴォーグレル魔術一座を天覧したい」と望み、彼らが宮廷に招待された。警察署長は、彼らの犯罪について全て赦免した。
《感想》「科学か、魔術か」は、真理追求の問題でなく、「どちらがカネになるか」の問題だ。魔術師ヴォーグレルは、カネが欲しいので、「魔術師」を演じた。彼自身がそう証言した。なんとも寂しい「魔術」だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不思議
  • 切ない
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ