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M★A★S★H マッシュ (1970)

MASH/M*A*S*H

監督
ロバート・アルトマン
  • みたいムービー 81
  • みたログ 905

3.29 / 評価:249件

そこまで笑えませんが、主題歌は秀逸です。

  • shinnshinn さん
  • 2017年7月2日 6時24分
  • 閲覧数 1624
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

1970年ロバート・アルトマン監督作品。舞台は1950年代初頭の朝鮮戦争で、原題の「M★A★S★H」とは移動米軍外科病院のことらしい(まあ、野戦病院ですね、テントでできた簡易病院)。戦争映画とはいえ、全く緊張感のないユルユルのコメディで、いま観るとそこまで笑えません。公開当時のアメリカ人なら笑えるのかもしれないけれど、所詮英語でのニュアンス(スラングとか時事ネタ)は日本人の自分にはよくわからない。なので、今の若い方が見たら、絶対に退屈だと感じるはずです。主題歌「自殺は苦しくない」の出來が素晴らしく秀逸だったのに、宗教上の理由からか、アカデミー賞からは完全にそっぽを向かれていましたね・笑。


50年代60年代にハリウッドで盛んに作られた戦勝国ならではの戦争バンザイ映画、努力と根性の末に栄光の勝利を勝ち取りました的な第二次世界大戦の輝かしい軍記もの、軍人列伝もの、自画自賛映画(昔の日本もそうだったけれど、勝った国から反省は生まれない、日本で反戦映画が作られたのは戦後です)と70年代後半から作られ始めた悲惨なベトナム戦争映画、反戦ではあるけれど、巧みにオブラートされたエクスキューズ映画にもなっている(つまり、我々だって苦しみました!)、本作はちょうど第二次世界大戦映画とベトナム戦争映画の中間的な時期に位置する数少ない朝鮮戦争映画です。興行的には大成功した作品で、本作のヒットを受けて、テレビドラマ化され本国では11年も続いた人気シリーズになりました(何がそこまでアメリカ人に受けたのかは未見のため不明、日本ではオンエアされませんでした)。たぶん、アメリカ人にとっては最後の古き良き戦争なんじゃないのかなぁ。


主人公の外科医3人(ドナルド・サザーランド、エリオット・グルード、トム・スケリットと濃いメンバー)が、軍隊の中でことごとく高圧的な上官に対して反抗的なのは、おそらく主人公たちは監督ロバート・アルトマンの分身でもあるのではないのか。この人は権威主義的(強権的)なもの、偽善的なものが大嫌いなのではないのか。聖書を片手にきれいごとを並べる上官にいちいち反抗的なのも、監督自身が国家や宗教の名のもとに権力を振りかざす欺瞞に満ちた人間を沢山見て来たからに違いない。実際に監督は第二次世界大戦時に18才で入隊しています。割と戦争から帰って来た監督さんにはこのタイプの人が多いような気がする(山本薩夫とか、「兵隊やくざ」シリーズを6本撮った田中徳三とか、「人間の條件」の小林正樹など)。  


監督の経歴を見ると「コンバット」の演出もしていたみたいだけれど、ドイツ兵がバカみたいに簡単に死んでゆく浅いテレビドラマの仕事をやっていた時は、内心忸怩たる思いもあったのではないのか。その思いがシュールで、洒落のめした、そしてどこか冷めた目で見たような、奇妙な味わいのオフザケ映画を作らせたような気がします。


だらしなく酒を飲み、見境なく女を口説く男たちの入念な描写に反して、割と女性たちの演出は淡白で雑な気もしましたが、ある悩みのために自殺願望をかかえた歯科医を、みごと立ち直らせた女性のエピソードには、どこか監督なりの女性に対するある種の思い、感傷的で、しかるべき女性の姿(理想)があるのかもしれません(このあたりの演出は、女性が見ると実に不快に感じる方もいると思うけれど・笑)。そこが、しょうもない男たち(自分含)には女神や菩薩に見えてきます。


まあ、よその国のことだし、こちらの勉強不足もあるのだけれど、アメリカにとっての朝鮮戦争の位置づけ(あるいわ総括)は、本作を観ても全く汲み取れないし、勉強にもなりません。そのあたりを期待するのなら時間の無駄だし、図書館に行ったほうがいい。


蛇足ですが、本作の2年後に「ゴッドファーザー」で渋い演技を見せた遅咲きのロバート・デュヴァルが、堅物の軍医役で出演しています。この俳優さんはコメディをやらせてもなかなかに上手い(芝居巧者というべきか)。

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