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真夏の夜のジャズ

真夏の夜のジャズ

JAZZ ON A SUMMER'S DAY

86

tak

4.0

素敵な音楽の前にジャンルも人種も関係ない

生演奏の音楽に身を委ねる快感…コロナ媧でしばらく味わっていないことの一つだ。そんな2020年に、リバイバル公開された「真夏の夜のジャズ」は、1958年のニューポートジャズフェスティバルのドキュメンタリーフィルム。名前は知っていても演奏する映像をじっくり観たことがないアーティストたちの競演の迫力に圧倒される。 クラシック映画に夢中になったおかげで、"サッチモ"ルイ・アームストロングの演奏や喋りは数々の映画で観る機会があった。「ハロー・ドーリー」「五つの銅貨」「上流社会」「グレン・ミラー物語」エトセトラ。「真夏の夜のジャズ」で観るステージはさらに魅力的だ。演奏前のお喋りで観客の心をグッと引き寄せ、ハイテンポなラグから、しっとり聴かせるナンバーではボーカルの掛け合いが楽しませてくれる。このRockin' Chairは、死期が迫った老人の呟きを歌ったブルースで、エリック・クラプトンも歌っている曲。これをルイは老人のセリフの歌に、茶々を入れる子供役を演じてみせる。年寄りの呟きの歌が、家族の歌に昇華する。見事だ。そしてお馴染みの聖者の行進で大盛り上がり。 アニタ・オデイの凄みを感じるスキャット、ダイナ・ワシントンは名曲All Of Me。鍵盤弾きの僕は、セロニアス・モンクが見られたのが嬉しかった。チャック・ベリーのロケンロールを交えつつ、クライマックスはゴスペル。 今はジャズというと、敷居が高そうなイメージすらあるけれど、ジャンルを超えたこの競演は、心地よい音楽と素晴らしい演奏の前にジャンルも人種も関係ないことを改めて教えてくれる。整然と椅子が並んだ観客席は今の音楽フェスとは随分違う風景だけど、聴衆の表情や身体がリズムで揺れる様子がとても素敵だ。 再びライブを楽しめる日が戻りますように。そう思う日々に貴重な演奏を収めた素敵な映画をありがとう。

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