「卒業」後のダスティン・ホフマンの演技力
- hoshi595 さん
- 2018年10月4日 3時56分
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題名から西部劇と思う人も多いかもしれないが、アメリカン・ニューシネマの傑作として有名になった作品である。
アメリカン・ニューシネマとは日本の名称でありアメリカではハリウッド・ルネサンスと呼ばれている。ちょうどベトナム戦争により政府に対する不満が高まった時代に作られた映画群を指し、主に反体制的な若者の心情を綴った映画で「俺たちに明日はない」、「イージー・ライダー」、「いちご白書」そして「タクシー・ドライバー」などが代表作として知られている。
物語は、テキサスからニューヨークを目指す自称カウボーイ(邦題は当時”車”が都会のイメージを代表していたので敢えてカーボーイとしたらしい)の冒険旅行的出来事を描いている。
主役は当時31歳のジョン・ヴォイトでアンジェリーナ・ジョリーの父親として有名だが、本作品では映画デビューしたばかりの若々しさが見られる。この後、「オデッサ・ファイル」やアカデミー賞主演男優賞受賞作「帰郷」などで活躍するが、不評だった「アナコンダ」のサローン役では、一癖も二癖もある男が強烈な印象を与えて演技力の高さを示している。
ほぼ二人劇のもう一人の主演は「卒業」でデビューしたばかりのダスティン・ホフマン。本作品と合わせて観ればデビュー当時から演技力が高かったとわかる。その後の活躍は、ロバート・レッドフォードと共演の「大統領の陰謀」、スティーヴ・マックィーンと共演の「パピヨン」、そしてトム・クルーズと共演の「レインマン」など大物俳優と対等以上の演技力を披露している。
しかし、本作品は一連のアメリカン・ニューシネマ作品とは異質で、背景である時代は荒廃しているかもしれないが、物語の中心は”奇妙な友情”であり”反体制色”は薄い。一部暴力シーンも見られるが、その動機はラストの切ないシーンに繋がり観るものの涙を誘う。
空しさが伝わってくるのと平行して”希望”が訪れてくる予感もある複雑な心情は2時間弱で表現するには限界があるかもしれないが、その暗さだけは正にアメリカン・ニューシネマの匂いが漂い、何とも言えない雰囲気に浸ることができる。
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