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マルセイユの一夜

マルセイユの一夜

HANS LE MARIN/HANS THE SAILOR/WICKED CITY

96

rup********

3.0

ネタバレマリア・モンテスの演技がネックに

ジャン=ピエール・オーモンがユニヴァーサル映画のテクニカラー・クイーンとして有名な妻マリア・モンテスと設立したプロダクションで製作され、夫婦共演した作品で、監督はオーモンの弟フランソワ・ヴィリエという家内工業的なフレンチノワール。 未見のモンテス出演作で、ヒロインのパスカル・オードレが素晴らしかった「河は呼んでる」のヴィリエ監督なので、観るのを楽しみにしていたのですが、期待したほどの作品ではありませんでした。 オーモンが演じる貨物船の船員エリクが、上陸したマルセイユの港のバーで、モンテスが演じるホステスのドロレスと出会い惹かれてゆく。 脚からゆっくり上へとパンしてムードたっぷりにモンテスが登場するシーンはなかなか良いのですが、いざ台詞を喋りだすと平凡な印象で、男を虜にするような雰囲気を出しきれていません。 モンテスは、ハリウッド映画の人工的できらびやかなセットに、ゴージャスなテクニカラーの魔法がかかり、エキゾチックな筋立てのストーリーがあってこそ輝ける人であって、本作のようなモノクロ現代劇で、ストレートなドラマ仕立てだと魅力が半減してしまうようですね。 ドロレスは、男を誘惑してさそいだし、路上で強盗を働くチンピラ2人の片棒を担ぐ女。 エリクもそのカモにされ、金品を奪い取られると、ドロレスはエリクの前から姿を消してしまう。 それでもドロレスのことが忘れられないエリクは、マルセイユに留まり続けているうちに、彼を襲ったチンピラと出くわしてそのうちの1人を殴り殺してしまい、さらに、ドロレスと再会を果たすと彼女の家にまで付きまとっていって悲劇が……と、美女の虜になって破滅する男の哀れな末路が描き出されていくノワール作品によくある展開の上、モンテスのファム・ファタール演技に深みがないのであまり気持ちが入っていきませんでした。ドロレスが突然笑いだすシーンもなんか変。 モンテスの美貌は観る価値があっても、中身が伴わないとつらいものがありますね。 チンピラの1人を演じているのが「カサブランカ」などのハリウッド映画にも出演していたマルセル・ダリオ。 さらに、中盤、姿を消してしまうドロレスと入れ替わるように、ロマの女占い師タニア役で国際派女優のリリー・パルマーが登場するのですが、パルマーのほうがモンテスよりもしっかりとした演技を見せていて、エリクに片想いをする女性の悲哀が感じられて印象に残りました。 風景描写に優れているヴィリエ監督だけあって、マルセイユの街並みが美しく描き出されているのが魅力の1つです。 〈フレンチノワールを10本収録しているパブリックドメイン版のDVDで鑑賞しました〉

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