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未完成交響楽

未完成交響楽

DAS DREIMADERLHAUS

102

rup********

4.0

ネタバレシューベルトと愉快な仲間たち

国立映画アーカイブにて鑑賞。 戦前の同名作とは全くの別物ですが、シューベルトの楽曲を全編に散りばめた明朗な歌謡映画といった味わいの作品で、「プリンセス・シシー」3部作のエルンスト・マリシュカが監督&脚本を手がけています。 家族みんなで観られるような大衆的な娯楽作で、シューベルトと彼を取り巻く仲間たちが交流を深めたり、同じ年頃の娘たちと恋をしたりという他愛のないストーリーが綴られていきます。 ちょっと吉永小百合&浜田光夫コンビの日活青春映画のような雰囲気もありましたね。 引っ込み思案な性格のシューベルトに、とある良家の3人姉妹の中でも一番の器量良しと評判の末娘ハンネレル(ヨハンナ・マッツ)を紹介すると、シューベルトは次第にハンネレルに惹かれていくようになりますが、シューベルトの仲間の1人に歌の上手なショーバー男爵(ルドルフ・ショック)がおり、彼もハンネレルのことを秘かに愛するようになっていて・・・、という恋愛事情が一応ストーリーの要になっています。 ただ、この3人の関係を突っ込んで描いていないので、終盤になって、歌うことが苦手なシューベルトがハンネレルに書いた愛の告白の歌をショーバーに歌ってもらうよう頼み、自分が伴奏をして彼女の前でショーバーが歌を披露すると・・・、といったあたりの展開がコントのオチのような印象になってしまっていたのがちょっと惜しいです。 「求婚は他人の手を借りずに行いましょう」という典型的な戒めですね。 シューベルトを演じているカール=ハインツ・ベームは、シシー3部作のオーストリア皇帝(シシーの夫)役が有名ですが、個人的には昔WOWOWで放送されたディズニー製作の「ベートーヴェン/気骨の楽聖(The Magnificent Rebel)」という作品でベートーヴェンを演じていたのが印象に残っています。 本作では、ベートーヴェンも登場していて、シューベルトがコンサートを観に行っているという場面もあるのですが、やがて難聴で指揮ができなくなってしまうベートーヴェンの姿に、ベームがベートーヴェンを演じたときの姿が重なって見えてしまうという不思議な気分を味わいながら観てしまいました。 また、音楽の出版業者ディアベリを演じた俳優リヒャルト・ロマノスキーの喋り方は、ハンガリー出身の名傍役S・Z・サカール(サコール)にそっくりなのですが、どこかで観た人だなと思ったら、同じエルンスト・マリシュカが脚本を書いた戦前の「別れの曲」でエルスナー教授を演った人でした。 20年以上経つのにコミカルな雰囲気が全然変わっていない(笑)。 ハンネレルら3人姉妹の両親がシシー3部作でシシーの両親を演じたグスタフ・クヌートとマグダ・シュナイダーなので、シシー3部作の番外編を観るような雰囲気も楽しめると思います。

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