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水の中のナイフ

水の中のナイフ

NOZ W WODZIE/A KNIFE IN THE WATER

94

ttt********

4.0

鬼才ポランスキーの「SM」「3P」喜劇

ポランスキー作品は、 「反撥」に続いて二作目のレビューです。 「反撥」は人間の怖さに震える作品ですが、 こちらは滑稽さ、特に男の滑稽さが笑えます。 ある倦怠期のブルジョア夫婦が、 偶然出会った一人の青年をヨットクルージングに誘う。 そこで起こる人間模様が描かれます。 一人の女を挟んで、虚勢を張り合う男二人の姿が なんとも可笑しい。 「お前、コレできるか~?」とか 「お前、コレ持ってないだろ~?」みたいな 子供のケンカと同じレベルですから。 青年はまだしも、夫はもういいオヤジなのに。 女はそれを静観しながら、 時折、二人を煽るような素振りを見せる。 それは、青臭い若者を弄んでいるのか。 それとも、惨めな夫をからかっているのか。 私には、この男女関係(特に夫婦間)が、 「SM」のように見えます。 少し言い方を変えると、強い女と弱い男。 この構図は同じポランスキーの「袋小路」にも顕著で、 彼自身の性観念が反映されているのではないでしょうか。 ポランスキーには、どこか女性に対する畏怖みたいなものを感じます。 とても微妙な人間心理を描いており、 一般的に言う所の娯楽映画ではありませんが、 すごくリアルな喜劇として面白いです。 私自身、男2女1という友人関係の経験があるのですが、 本当にこんな感じでした(笑)。 派手な大作に疲れた時などにオススメでしょうか。 人によって色んな楽しみ方ができる作品だと思います。 全編に流れるジャズの調べと共に、 少し気取った大人な時間をどうぞ。

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