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ミッション (1986)

THE MISSION

監督
ローランド・ジョフィ
  • みたいムービー 98
  • みたログ 705

3.49 / 評価:237件

強烈に心に残る作品★

  • ばんちゃん さん
  • 2011年7月11日 20時57分
  • 閲覧数 2727
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

いままで、様々な『大スペクタクル』と呼ばれる映画を観てきたつもりだった。また、CGが主流となり、あり得ない光景も、手軽にスクリーン化されるこの時代、目が慣れてしまったせいか、激しい戦闘や、不思議な光景にも驚きの声あげることは少ない。しかし、今、この古い作品を観て、自然が創り出す『大スペクタクル』に圧倒された。怒濤の水幕を張りながら、たたき落ちていく巨大な滝。この滝をロケーションにし、また、象徴的にも使いながら、18世紀中盤のスペイン、ポルトガルの南米における領土争いに巻き込まれた、先住民やイエスズ会の宣教師の悲劇をドラマチックに描いた作品である。

(イバラではないと思うが、)草冠をかぶせられ、十字架にはりつけされて、放流され、そのまま滝壺に落ちていく宣教師… そして、その直後、ミッションを引き継いだ別の宣教師が、巨大滝の絶壁を、水に打たれながら、たった、ひとりで素手、素足でよじ登っていく。 この、鑑賞者にまで水しぶきがかかってきそうな、オープニングだけでも、圧巻である! なかなか出会えない映画に巡り会えたことに感謝する。そして、今まで、スクリーンで観る機会がなかったことを惜しむ。(『午前10時の映画祭』に、是非取り上げていただきたい^^)

しかし、武器を持った先住民の中で、宣教師が笛を演奏して、相手の敵意や殺意をなくしてしまうというシーンは、緊張感はみなぎっていたものの、安易なものになってしまい、苦笑してしまった。ただ、この作品は、史実を伝えてはいるが、その正確性よりも、むしろ、ヒューマン・ドラマに重きを置いてある。(ちなみに、先住民が、宣教師に心を開き、自分たちの神を捨て、改宗するようになるまでには、実際には150年の歳月がかかったという。その歳月を、わずか2時間に凝縮して、濃厚なドラマに仕立て上げたと、解釈した方が良いのだ。)だから、多少の無理な流れは、気にしない方が、良いのだろう。

ドラマの中心となるのは、先住民を狩り、スペイン側に奴隷として売り渡していた人非人:メンドーサ(ロバート・デニーロ)の生きざまである。人を狩って富をなしてきた彼は、恋人に裏切られたことがきっかけで、肉親を殺害してしまう。 自分の罪を見つめ、改心するまでの苦悩、世俗を捨て、宣教師として先住民に溶け込み、彼らのために命を捨てる覚悟をするに至るその心理的変貌も、滝とともに描かれている。

デニーロは、役柄上、スーツか現代的な服装のイメージが強く、こういうコスプレを観るのは、私は初めてである。特に、後半、先住民とともに闘う場面になると、『ブレイブハート』や『パトリオット』の、メル・ギブソンを連想してしまい(苦笑)、デニーロの役として、かなり新鮮な見方ができた!

さて、下界の、欲にまみれた白人達を尻目に、宣教師たちが、滝の上に先住民と築きあげたコミュニティは、まるで、神を中心とする桃源郷のようだ。 その桃源郷には、先住民の子供達の歌う賛美歌が響き渡る。それに加えて、エンリコ・モリオーネの美しい調べが、さらに、物語に奥行きを与える。(実は、この作品を鑑賞しようと思ったきっかけは、'10~'11における、安藤美姫の、今作のサントラを使用したショートプログラムの演技に大変感動したからだ。) 現実的に考えると、死にいたる伝染病や危険な毒虫、猛獣などがいるジャングルは、白人にとって、理想郷にはなりえないと思われる。が、そういう枝葉はカットして、わかりやすく、美しく描かれてある。デニーロ演じるメンドーサが、世俗の垢を落とし、心を安らげ、人生をやり直した楽園である。バナナの栽培や、楽器作りで、コミュニティが得た収益は、先住民に還元されている。まさに、信仰により、神の意志が生きているかのような世界なのである。

大きな利潤を得て、ポルトガル、スペイン両国の反感を買ったばかりでなく、法王の後ろ盾もなくなった後のコミュニティには、ただただ、涙を流しながら見守るしかなかった。無抵抗の女、子供や、十字架を掲げる者にまで、攻撃が仕掛けられる。北米の原住民の悲劇と似通った歴史が、ここにもあった。

デニーロ以外で、渦中の神父を演じるのは、ジェレミー・アイアンズと、リーアム・ニーソン。 ジェレミーは、メンドーサ(デニーロ)をキリスト教に導き、共同作業で布教を行う役であるが、教皇の指示に従わず先住民側につく彼と決別する。しかし、いざ戦いが始まってみると、消えているはずの彼の姿は、先住民と共に教会の中にあることに気付く。そして、オープニングだけでなく、エンディングにも、忘れられない見せ場を作るのだ…><

若きリーアム・ニーソンは、セリフは少ないが、今もかわらない、穏やかで温かみのある表情が、そのころのものであることがわかる。彼とこの作品の中で会えたのも、収穫だった。 

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • スペクタクル
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  • 勇敢
  • 知的
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