ここから本文です

ミッドウェイ (1976)

MIDWAY

監督
ジャック・スマイト
  • みたいムービー 12
  • みたログ 323

3.09 / 評価:114件

<神風>は吹かなかった。

  • shinnshinn さん
  • 2019年8月22日 6時50分
  • 閲覧数 983
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

1976年劇場公開のユニバーサル映画。<ミッドウェイ海戦>をアメリカ、日本、双方の視点から描いた軍記物です。当時のキャスティングとしては、相当に豪華です。主演のチャールトン・ヘストンも準主役のヘンリー・フォンダもアメリカの国民的大スターだと言っていいと思う。意外なのは並み居るベテラン俳優の中、クレジットの3番目が僅か2分30秒足らずの出演なのに、ゲストスター扱いのジェームズ・コバーンです(ハリウッドでも結構格上だったのね)。連合艦隊司令長官・山本五十六役を世界のミフネさんが演じます(クレジットはグレン・フォード、ハル・ホルブルックの後の6番目)。三船敏郎の声が実に魅力的で聞き惚れます。軍隊時代は声が立派過ぎると上官に理不尽なビンタをもらったとか。アメリカ人は日本人とは逆で劇場で字幕を読む事を嫌うので、日本人役はみんな英語を喋ります。ミフネさんの英語が流暢なのかどうなのか、僕にはよく分からないが、英語でも相変わらず重低音の声は立派です。南雲忠一役のジェームズ・繁田や、「ベスト・キッド」(84)のミスター・ミヤギ役で有名なパット・モリタ、クライド・クサツなど日系アメリカ人俳優が多数出演しています。


マシュー・ガース大佐(チャールトン・ヘストン)の息子(海軍パイロット)が日系アメリカ人(敵性国民だと敵視されています)の娘と恋に落ちるエピソードは個人的には要らないと思うのだが、ハリウッドは割とこの手の脚本が好きらしい(女性の集客が目的だと僕は見ている)。父親役のチャールトン・ヘストンが意外と暖かい目で民主的に若い2人を見守るのも、どうも嘘くさいのだ(笑)。それにしても、ハリウッド映画に出てくる日本人のヒロインはどうしてあんなに東南アジアっぽいお顔の美人なのだろう・・・。


映画は1942年4月18日に空母ホーネットから発進するB25のセピア色のシーンから始まります。アメリカ側から見ると、これは歴史に名高い<ドーリットル空襲>の記念すべき瞬間で、日本軍による真珠湾奇襲攻撃で大惨敗を喫したアメリカが、巻き返しの狼煙を上げた瞬間でもある(真珠湾攻撃からわずか4ヶ月後に、アメリカは日本本土の空襲に成功する)。このあたりの経緯は「パール・ハーバー」(01)で詳しく描かれています。ヒロインのケイト・ベッキンセールはキレイだったが、主演のベン・アフレックやジョシュ・ハーネットより、ドーリットル中佐役のアレック・ボールドウィンの方がいい芝居をしています(断然カッコいいのだ)。正直、どうでもいい<恋愛エピソード>より真珠湾攻撃後のアメリカ軍反撃のお話の方が数百倍、僕には興味深かった(笑)。


軍事衛星などなかった当時の海戦が、お互いの腹(戦略)の探り合いであり、暗号解読などの情報収集と、偵察機による索敵に負うところが大きかった事が窺えます(地道な索敵が勝敗の鍵をにぎるのだ)。結果的にこのミッドウェイ海戦で日本海軍は取り返しの付かない<大敗北>となる。戦況が刻一刻と変化するので致し方ないのだが、ミッドウェイの航空基地を爆撃するのか、敵の主力空母を殲滅するのか、この二択の曖昧な迷いが甲板での250キロ爆弾と魚雷の付け替え作業という時間的なロスとなり、まさに空母の甲板が火薬倉庫の如き状態の時に攻撃を受けてしまうという、最悪の事態を招く。甲板上のもたつき、ドタバタは海軍の<大チョンボ>にも思えるのだが、これは我々が歴史的結果を知っているからなのかもしれない。結局、綿密な索敵をしたアメリカに勝利の女神が微笑んだ。日本に神風は吹かなかったのだ。


この映画、ミッドウェイ海戦の詳細が分かるという意味では悪くはないが、映画としてはドラマテックな盛り上がりに欠けます(演出が凡庸なのだ)。もちろん日本の<負け戦>だから、そう感じた訳ではありません(念のため)。「トラ・トラ・トラ!」(70)の方がお金も掛かっているし、時系列と人物の詳細が分かりやすく、役者が魅力的です。「遠すぎた橋」(77)の方が壮大なスケール感があり、戦争映画というジャンルの醍醐味が味わえる(音楽のマーチがいい)。


敗戦以降、日本も空母を再び持つことになる。感慨深い。良い悪いはここでは書きません。みんな迷っているのだ・・・。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ