南の誘惑
作品レビュー(1件)
- UBUROI
5.0点
ウーファとはハリウッドだったのか。ノルウェー女性が南アメリカに嫁いで不幸になるという恐るべきスケールの無国籍メロドラマに驚く。旅で訪れ、闘牛に魅せられた女性が船から降りて、島の独裁者ドン・ロペスの胸の中に飛び込んでいく。このドンがブニュエルのフェルナンド・レイにそっくりで、『エル』の主人公のように焦げ付くほどに嫉妬する。まるで、メキシコ時代のブニュエルでも見ているみたいだ。この逆照射がメロドラマ作家としてのブニュエルを浮上させる。が、ダグラス・サークの豊かさをとことん思い知らされる1作ということで、そのシーンのひとつひとつを記憶にとどめておこう。豪華きわまる結婚式に地元の風習が入り込むことでの不穏さ。次のシーンでは夫婦仲は冷め切っているというスピード感。ノルウェーの元恋人が、医者として島に派遣されることとなり島では夫婦のすれ違いを象徴するように熱病が流行しているのだ。島の政治のために病気を隠そうとする画策と、島の人々を救おうとする医師の意志。複数の要素が絡み合っての大団円がパーティ会場の中で締めくくられるのだ。ヒロイン役者はジャネット・マクドナルドのように歌手ででもあるのか、劇中本格的に2曲歌うシーンがある。子供と一緒のアルファベットの歌とタイトルの「ハバネラ」だ。
スタッフ・キャスト
人名を選択するとYahoo!検索に移動します。