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ミュージックボックス

kin********

5.0

ネタバレ傑作!

2時間まったくダレることがありません。ハンガリー特殊部隊でミシュカと呼ばれた男の残虐行為が法廷で明かされていき、本当に父とは別人なのか、娘の葛藤が深まっていきます。俳優陣が素晴らしい。証言者としてワンシーンだけ登場する人々も、みな存在感があります。コスタ・カヴラスの演出は抑制が効いて、的確に観客を誘導してくれます。  後半部で二転三転するサスペンスも素晴らしい。なぜもっと話題になり評価されなかったのかが不思議なくらいです。  まあ鑑賞後に振り返ると、冷酷無比な殺人者が身を隠す方便で善良を装って暮らし、娘は皆から愛される弁護士に育つ、という構図は作りすぎで嘘っぽい、と見る人もいるのでしょう。心理的には激しく動くが映像的には地味、ということもあると思います。  ブタペストでの出張尋問の際、証人の信頼性を疑わせる文書を手に入れるのは全くの「棚ぼた」で、ここはひと工夫して欲しかった。例えば父からのサジェッションで会いに行った人物から教えられる、とか。  またラスト、決定的証拠となる写真を対立する検事に郵送して終わるのはあっさりしすぎ、と思います。やはり対面して渡し、互いの心情を吐き出すシーンが見たかったです。その写真もいかにも合成っぽく見えてしまったし。劇用に作ったんだから仕方ありませんけど。  と、マイナス点を挙げてみましたが、なんでもっと評判にならないんだろう、という疑問から考えてみたまでで、私自身は不満なし。  社会的テーマと娯楽性が美事に融合した傑作です。

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