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ウエスタン (1968)

C'ERA UNA VOLTA IL WEST/ONCE UPON A TIME IN THE WEST

監督
セルジオ・レオーネ
  • みたいムービー 60
  • みたログ 396

4.36 / 評価:196件

マカロニの巨匠、ハリウッドに錦を飾る。

  • shinnshinn さん
  • 2019年10月19日 1時42分
  • 閲覧数 499
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

イタリア人監督セルジオ・レオーネの作品の中でも、代表作ぐらいの知名度がある大作ですが、自分は初見でした。映像が鮮明なレストア版なのでありがたい。


画面が横長なので当時流行った70mmシネラマ(シネスコ?)というやつなのか。横に長いフィルムの特徴を実に巧く使っています。この方の暴力描写はシャープで際立っているが、基本はやはり<映像詩人>という気がする。セットが壮大でお金もかかっています。俳優陣も豪華。


冒頭にウディ・ストロードとジャック・イーラムが出てくるだけでも監督のハリウッド製西部劇に対する強い思い入れが感じられます。一段低く見られていたマカロニウエスタン(イタリア製西部劇、ガンマンがイタリア語をしゃべります)の巨匠が、憧れの本場ハリウッドに辞を低くして迎えられた訳だから、監督の製作に対する入れ込みようも尋常では無かったと推察(モニュメント・ヴァレーでの撮影は死ぬほど嬉しかったに違いない)。入れ込みすぎて、お話が少々長くなったのもショウガナイ(長いが、お話は割とよく練れています)。原案にベルナルド・ベルトルッチ(「ラストエンペラー」(87)の監督)とダリオ・アルジェント(「サスペリア」(77)の監督)が参加しているのも面白い。同郷人の檜舞台に同じイタリアの才能が集結した訳だ。


主演はそのタタズマイだけでも絵になる男、チャールズ・ブロンソン。下唇からまゆ毛あたりまでの、お得意のどアップショットに、あの味のあるお顔が効果絶大です。ハーモニカという役名で、なぜかもの悲しいハーモニカを吹いている。これが映画のギミックとして効果的に使われています。敵対する極悪人フランクを、なんと<アメリカの理想・アメリカの良心>ばかりを演じ続けてきたヘンリー・フォンダが好演。ジョン・フォードの名作「荒野の決闘」(46)の保安官ワイアット・アープで<勇気>の人を演じ、「12人の怒れる男」(57)の陪審員8番で<正義>の人を演じた。アメリカの国民的大スターをキャスティング出来たのだから、監督の感慨も一塩だったと思う。役柄としては<善良>なイメージしかなかったヘンリー・フォンダに冷酷な悪役を振ったセルジオ・レオーネのアイデアは悪くないし、名優のヘンリー・フォンダもその注文に十二分に答えているのだが、アメリカ人にはそれが気に入らなかったらしく、アメリカでは、この映画はヒットしなかった(ヨーロッパと日本ではヒットしました)。


西部劇でお約束の荒野に咲いた一輪の花(ヒロイン)には、ハリウッド女優ではなく本国イタリアからクラウディア・カルディナーレをわざわざ連れて来ています。上品というより、ちょっとあだっぽい美人なのだが、意外と芝居も巧い。胸元の大きく開いたドレスの胸の谷間は、人にもよるが破壊力は絶大だと思う(ウィキペディアによると現在81才。キレイなお婆ちゃまになっていると僕は信じている)。「鉄道員」(56)のシルヴァ・コシナや「黄金の七人」(65)のロッサノ・ポデッサ、「007ロシアより愛をこめて」のダニエラ・ビアンキなどイタリアは昔から強力なお色気美人が排出する土地柄なのだ(と勝手に思っていた僕は、ローマの地下鉄には一車輌ごとに一人ぐらいづつは、上記のような美人さんがゴロゴロしているんだろうなぁと妄想した。心密かに期待し、一両目から全車輌を徘徊した事があるが、そんな事はやっぱりありませんでした・笑)。今、思い出した、ヴィルナ・リージもいい(笑)。


その他にもジェイソン・ロバーズが重要な役で絡んで来ます。そう言えば、この方は傑作「テキサスの五人の仲間」(66)でもヘンリー・フォンダと共演していました(お二人ともお芝居の巧いこと、巧いこと)。


最後の<落ち>をセルジオ・レオーネ監督の盟友エンニオ・モリコーネの音楽が盛り上げます。モリコーネは監督の小学校の同級生だったよし。モリコーネ節が実にいい。「夕日のギャングたち」(71)や「アンタッチャブル」(87)もいいし、「ニュー・シネマ・パラダイス」(88)はもう最高。


BSの字幕版で観たのですが、チャールズ・ブロンソンの英語の声がなぜか大塚周夫さんに聞こえてきました(実際、声の質も似ています。海原雄山の時も好き)。不思議な逆転現象なのだが、昭和生まれのアフレコ世代には違和感を感じません。クラウディア・カルディナーレも小原乃梨子さんの吹き替えで聞いているような錯覚におちいりました(実際のカルディナーレはドロンジョ様より低い声なのだが)。


結果的に、B級と侮られていたマカロニウエスタンの亜流巨匠(僕はそうは思わない)が、本家ハリウッドへ出向いて、見事に錦を飾った。やたらと重厚な格調で大家の雰囲気にこだわっているのも、その辺の屈折した思いがあったからなんじゃないのかと邪推する自分でありました。監督の<意地と根性>が詰まった映画だったと僕は見ている。

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