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めぐり逢う朝 (1991)

TOUS LES MATINS DU MONDE

監督
アラン・コルノー
  • みたいムービー 20
  • みたログ 49

3.89 / 評価:19件

死者へ手向ける音楽

  • 寅じろう さん
  • 2008年11月9日 12時23分
  • 閲覧数 1159
  • 役立ち度 23
    • 総合評価
    • ★★★★★

ヴィオールという楽器がある。
現代のチェロに似た形状だが、作中の台詞によると「少女のため息から男のすすり泣き」まで表現するその音色はどこか物悲しい。

17世紀のフランスに実在したヴィオールの名手サント・コロンブとその弟子であるマラン・マレとの葛藤を描いた作品。

物語は宮廷音楽家の重鎮となった年老いたマレの回想から始まる。
「私の音楽は俗物だ。だが彼は音楽そのものだった。」

妻を亡くしたサント・コロンブは、二人の娘と共に隠者のような日々を過ごしていた。
亡き妻を想いながらヴィオールを弾くサント・コロンブ。
その時、生前の妻がサント・コロンブの前に現れる。
サント・コロンブにとっての音楽は、亡くなった者に捧げる音楽だった。

そんなコロンブにある日、弟子入りを志願する若者が現れる。
17歳のマラン・マレだった。
マレの演奏を聴いたサント・コロンブは、
「貴方の演奏は上手だ。世の人々に受け容れられるでしょう。だが音楽が聴こえない。」
と言い弟子入りを最初は認めない。
だが、マレに一目惚れした長女マドレーヌの懇願でついに弟子入りを認める。

サント・コロンブの下で研鑽を積むマレだったが、ある日、王の御前で演奏したことがきっかけで破門されてしまう。
サント・コロンブにとって音楽を栄達の道具に使うことは許せなかった。
破門されたマレは、宮廷音楽家として出世していくのだった。
その一方、マドレーヌへの愛情が冷めていき彼女に会うこともなくなる。
やがてマドレーヌはマレの子を死産してしまい病弱の身となる。
病床でマドレーヌは、父にかつてマレが自分のために作曲した「夢見る女」を弾いて欲しいと頼む。
いくら娘の願いとはいえ聞けるものではなかったが、その代わりに宮廷に住むマレに見舞いに来てくれるよう頼む。

久しぶりにマドレーヌに逢うマレは、彼女のために「夢見る女」を弾く。
だが、既に押しも押されぬ宮廷音楽家となったマレにはかつての音楽への純粋さが失われていた。
失望したマドレーヌは、マレと別れた後、首を吊り自殺してしまう。

マレは師が亡くなった後も長い間、彼の教えを理解できなかった。
だが宮廷音楽家として出世したはいいが、結局、師を超えることができなかった。
回想を終えたマレは、ヴィオールを弾く
すると彼の前に冥府にいるはずのサント・コロンブが現れる。
師はかつての弟子に言う、「貴方に音楽を教えて良かった。」

世俗の栄達は忘れ去られるが、亡くなった人への思い出は消えることがない。
地味ながらも心に染みわたる名作である。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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