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日本の黒い夏 冤罪 (2000)

監督
熊井啓
  • みたいムービー 39
  • みたログ 340

3.58 / 評価:97件

冤罪は身近にある

  • kinchan3 さん
  • 2016年5月24日 9時50分
  • 閲覧数 806
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

 「縮瞳」って変換できるのに驚いた。
 サリン事件がなかったら、出なかったかもしれない。
 
 近所に個人医院がある。
 長男が若くして亡くなったので、別の専門を学んでいた長女が医学部に入り直した。
 そして、この松本サリン事件に巻き込まれ、亡くなった。
 もう少しでお医者さんになれて、多くの人を救ったのに。
 週に1度はその医院の前を通るが、通るたびに胸が痛む。

 サリン事件を最初から描くのかと思っていたら、検証番組を撮るという設定なので驚いた。
 神部さんというのが河野義行さんであることは明らかである。
 当時のワイドショーは決めつけて、警察が繁華街で河野の写真を見せて調べていたなどという報道を続けていた。
 縮瞳などからサリンと分かった後も、河野さんを犯人にしていた。
 松本は取材合戦の場となっていた。
 大量殺人事件というが、素人でも作ることができるという、ある教授の発言が常識になってしまった。描かれているように複数の専門家が必要な薬品だったが、遅すぎた。
 河野さんの持っていた薬品からは作られないと分かっても追いかけはひどかった。奥さんが重体だったが、これも夫婦愛を疑う報道が多かった。
 奥さんは気分が悪くなって横になったから被害が大きかっただけだった。
 子どもさんたちは二階に寝ていて助かった。

 初めて『007』を見た時にスペクターのような悪の組織が作れるものか、不思議だったのを思い出す。
 その後、オウム真理教事件でありえることがよく分かったし、北朝鮮の現状からもよく分かる。
 考えてみれば、マンハッタン計画なんていうのも、「善意」に満ちた一部のエリート科学者たちと何も知らされないで作らされていた多くの一般の科学者たちとの共同作業だった。そんなに簡単か、誰も再現実験をしようとはしなかった。
 組織犯罪とか、テロというものの意味が本当に分かるまでは地下鉄サリン事件を待たなければ、僕のような愚か者には、いやジャーナリストの一人にだって分からなかったのだ。
 分かろうとせずに、視聴率競争から取材を急いでいた。
 警察報道と違う特番を流したら、善良な一般市民が抗議の電話をしてきた。
 ベッキーの不倫だって、自分と関係が全く無い癖に問題があるという人がいっぱいいるから構図は変わらない。
 ベッキーも少女から大人になったと喜んであげる人はいないのだろうか?
 クライアントとの関係が出てくるが、クライアントは見えもしない人々に怯えているだけだ。本当は顧客ですらしかない人々ばかりだ。

 戦後日本の変わり目は1970年の大阪万博と三島事件、1995年の阪神大震災とオウム事件、2011年の東日本大震災だった。
 マスコミが死んで改憲が行われる2016年も同じように記憶されるかもしれない。
 そうそう、地下鉄サリン事件の翌日の朝日は社会面全面がオウム関係で、犯人と決めつけるようなことは何も書いてないものだった。
 河野さんの冤罪が本当に解けるのはこの後だった。
 
 タイトルは松本清張の冤罪などを扱った『日本の黒い霧』を意識したものだろう。1994年(平成6年)6月27日だから夏なのだ。
 日本の暗い事件を多く扱ってきた熊井啓監督ならではの映画だった。

 そうそう、住んでいるところの県警は冤罪が多いのでも知られる。横浜事件を始めとして、富山・長野連続女性誘拐殺人事件があるし、氷見事件、そして富山市会社役員夫婦放火殺人事件がある。最後のは警察官が犯人とされた。
 
 遠い場所での事件ではない。 
 と書いただけで、警察からマークされるようになるから、言動には気をつけよう。

 後知恵で冤罪を批判することは簡単だ。同時代人としてどう生きるかだ。

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