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モレク神 (1999)

MOLOKH/MOLOCH

監督
アレクサンドル・ソクーロフ
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4.27 / 評価:11件

権力者の愛

  • 文字読み さん
  • 2008年11月2日 0時18分
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  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

1999年。アレクサンドル・ソクーロフ監督。愛人エヴァの山荘を訪れるヒットラーの一日。食事しながらヒットラーが語る優生学的、生体的、死滅的な思想は気色が悪いですが、周囲の追従の様子やついていけない感じもよくでています。遺伝子工学が今のように進歩してしまえば、民族や人種レベルの彼の思想などかわいいもんですけど。

「裸の王様」的な彼に唯一つっこみを入れることができる愛人エヴァ。戦争記録映画を見てのめりこむ男たちと冷めていく女たちの対比が印象的で、「王様は裸だ」というのがピストルを持っているエヴァの役目です。「アウシュビッツ」と口にするエヴァに対して「どこだそれは」と否認するヒットラー。

お互いに愛し合っているというのがさらに厄介で、高尚になりたがるヒットラーの俗物性が、彼女の愛を素直に受け入れさせない。「死を克服する」とか優生学とか高邁な思想が障害になって、子づくりも家族もできない。一対一で向かい合えないヒットラーがエヴァに語りながら次第に演説になっていくのは、彼女を愛しすぎていて対面できないからですね。ダメな男だなぁ、こいつ。

権力者の愛を描くというきわどさがすばらしい。ヒットラーの尻を蹴るエヴァから始まる一連のシーンが最高。男と女と戦争。周囲を見渡すようにそびえる別荘、ヒットラーの体液、部下の体臭、ちょろちょろと流れる水、終始鳴っている雷鳴、そして最後の雨。テーマと細部にこだわった映像と音楽をご堪能ください。

詳細評価

物語
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