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モレク神 (1999)

MOLOKH/MOLOCH

監督
アレクサンドル・ソクーロフ
  • みたいムービー 34
  • みたログ 25

4.27 / 評価:11件

”砂を掘る”仕草はネコと同じ♡

  • bakeneko さん
  • 2011年7月26日 11時23分
  • 閲覧数 624
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

ヒトラーを題材にしたソクーロフの“20世紀の偉人?”3部作の最初の作品で、この後レーニン、昭和天皇を主人公にした作品へと引き継がれていく“天上からの眺め”感覚が現出した作品であります。
エバ・ブラウンの眼を中心に語られる本作は、(ドイツの快進撃がストップし始めた)1942年の夏に、ヴェルヒテスガーデンの山荘に休暇滞在する為に訪れたヒトラー、ゲッペルスら少人数のわずかな滞在の間の行状を、“家族スケッチ”を観る様な穏やかな目線で見せてくれます。

え~、映画で独裁者を見せる場合はその異常性を、時にヒステリックに、時にカリカチュアライズして極端に描くことが“お約束”となっています。そうした“ありえない突然変異的人物”に、戦争や専制の罪を全て負わせることで、一般庶民は(歴史的悲劇は何度も繰り返される平凡な事象で、その真犯人は国民自身であるという事実から逃避して)、“悲劇が稀で異常な事象であり”、“自分達は全く無垢無罪”である事を安心したいのであります。
本作に始まる3部作は、多くの悲劇を生んだ歴史的事件のキーパーソンが、“普通の人間”であるという観点に立っています。そして、時代に翻弄されて身分立場が突出した為に“悲劇の中心人物”になってしまった“凡人”としての愛すべき面や、愚かしい面、平凡な顔、そして優れている部分を、感情を排した“澄んだ眼”&分厚いガラス瓶の底を透して見る様な”距離感“&薄暮の様な淡い映像で見せてくれます。

ニュース映画の上映や、戦況の報告のシークエンスもありますが、大半は静かな身辺雑布的な会食やピクニック等の長閑なシークエンスで、“影絵”を観ているかのような静やかな光景に“国を動かしている人もあまり変わらないなあ”という奇妙な現実感覚を味わえる作品で、使用人や部下の反応も“血肉の通った”人間を淡々と見せてくれます。

大戦中の“特異な独裁者”を高みから降ろして見せる事で、不思議な現実感を味あわせてくれる稀有な作品で、“下界の戦争から遠く離れた雲の上で過ごす平和な場景”を見せながらも、チラッと歴史の重み&非日常の匂いを出す匙加減に、玄人名人芸を見出しながら興味津々で鑑賞する映画で、教科書歴史の“独裁者”視点から離れて“人間”を観る事の出来る作品であります。



ねたばれ?
“私を捉まえてごらんなさい~♡”には眼が点に...。

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