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ウォーカー (1987)

WALKER

監督
アレックス・コックス
  • みたいムービー 10
  • みたログ 50

3.48 / 評価:21件

そこのけそこのけ亜米利加が通る

  • 一人旅 さん
  • 2016年7月1日 20時01分
  • 閲覧数 495
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

アレックス・コックス監督作。

19世紀中頃、ニカラグアに遠征し独裁者となった実在のアメリカ人、ウィリアム・ウォーカーの半生を描いたドラマ。

『シド・アンド・ナンシー』のアレックス・コックス監督作品なので、マジメな伝記映画ではない。重々しさや深刻さとは無縁で、とにかく印象的なのはおフザケが入り混じった独創的な演出だ。銃弾行き交う戦場のど真ん中をウォーカーだけが淡々と歩き続けるシーンは非現実的だし、協力者であるニカラグア自由党幹部の名前を度忘れしてしまうシーンも笑いを誘う。最終的にはその時代に存在しないはずの自動車や軍用ヘリまで登場させてしまうという、時代を完全無視した過激な演出が印象的だ。

ストーリーは、メキシコ遠征に失敗し、裁判で無罪判決を受けた後、中米ニカラグアの独裁政府打倒のため行動を開始するウォーカー(エド・ハリス)の姿を描き出す。財界の大物に依頼され、60人弱の傭兵を引き連れてニカラグア入りするウォーカー。部下の連中は野郎感丸出しのみすぼらしく汚らしい風貌で、とてもじゃないが「遅れた国家に民主主義をもたらす正義の使者」には見えない。表向きはニカラグアに民主主義を確立し、抑圧された国民を解放することを目的にしているものの、実際はアメリカの政治的・経済的思惑が働いている。アメリカにとってニカラグアは自国に利益をもたらすための単なる道具に過ぎず、民主主義の大義は解放という名の侵略を正当化するための道具に他ならない。
そもそも、国際社会の枠組みが満足に成立していない時代において、人種も言葉も違う中米の小国の国民を救い出すためにアメリカ一国が独断で行動を起こすなんてちゃんちゃらおかしな話。人間誰しも一番可愛いのは自分自身。それは国家においても同じことで、アメリカが一番可愛いのは他でもないアメリカ自身だ。

米ソ冷戦時代に製作された作品なので、中米に対するアメリカの介入への批判的精神に溢れている。1979年から10年もの間、同じくニカラグアでアメリカが支援する反政府軍とソ連が支援する政府軍の間で内戦が勃発した(第二次ニカラグア内戦)。本作の製作時期を考えると、数ある中米介入の中でも特にこのニカラグア内戦に対する批判が根底にはあるようだ。
“ちょっとアメリカさん、100年前から進歩してないよ!またニカラグアを苦しめてるよ!”てな具合に。

詳細評価

物語
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音楽

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