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ウォーカー (1987)

WALKER

監督
アレックス・コックス
  • みたいムービー 10
  • みたログ 50

3.48 / 評価:21件

民主主義の伝道師アメリカの本音を揶揄。

  • じゃむとまるこ さん
  • 2013年12月3日 11時04分
  • 閲覧数 756
  • 役立ち度 10
    • 総合評価
    • ★★★★★

『シド アンド ナンシー』でパンクロックの象徴ともいえるシド・ヴィシャスの短い人生を描き切ったアレックス・コックス監督、そのパンク魂全開で挑んだのが本作で、コックス監督の反骨精神が痛快なアメリカの正義の欺瞞を暴く怪作と言えます。

アメリカ史が抹殺した男、ウィリアム・ウォーカーにアメリカ国家を重ね合わせて描いているのか、と思われる”アメリカの正義”の胡散臭さに痛烈な批判を浴びせる、アメリカの建前をぶっとばし、その本音をさらけ出すコックス監督の面目躍如たる代表作です。

1855年、32歳のウォーカー大佐(エド・ハリス、怪演・・・若い)は「58人の不死隊」(実はならず者軍団)を率いて中米ニカラグア征服に立ち上がった。内紛の続くニカラグアに民主主義の名のもとに平和と繁栄をもたらすという大義名分を掲げて。
時のアメリカ政府の隣接国文明化は神の意志であるという、自国の正義を臆面もなく押し付け、ウォーカーはひたすら前進する、その衣服は黒のハットと黒衣装の伝道師そのもの。
ニカラグア全土を征服した彼は自ら「大統領」として2年間独裁政権を樹立、狂気に取りつかれたとしか思えない独裁者の弱さをさらけ出す。

これは何も昔の話ではなく、この映画が製作された1987年当時のアメリカ政府のニカラグア干渉を痛烈に批判しており、ベトナム戦争で何も学ばなかったアメリカ、民族の解放やら、民主化などときれいごとを言っても自国の経済のための侵略でしかない、大国の正義を暴いて見せて痛快です。

この史実はアメリカ史の中では抹殺されていますが、都合の悪いことはなかったことにする大国の傲慢さも叩きのめしている映画です。

舞台は19世紀であるのに「ニューズウィーク誌」「マールボロ」「リムジン」「軍用ヘリ」まで登場させることでブラックユーモア化して、その主張をより先鋭化させています。

政治色の強い映画ですが、アクション映画としても見応えがあり、ストップモーションを多用した戦闘シーンが見応え十分大迫力、外連味たっぷり、灰汁が強く、しかも美しい。

「ゼロ・ダーク・サーティ」や「キャプテン・フィリップス」など、映画としては秀作と言えるが、手放しでは納得できないという疑問を持つ、その理由を圧倒的な力で見せ切ってくれる異色作です。

映画としては政治色だけでなくロマンスも絡めてはいるのですが、ウォーカー氏、婚約者がコレラに感染して急死ということで”何かが切れた”という描き方ですが、今一つ意味がなかったような、その婚約者が聾唖者で手話で話したりとか、聡明な女性であったとか、意味ありげなのだけれど、伏線としては活きていないような。
マーリー・マトリンがとても美しく、演出としては無駄使いが少々もったいない。

音楽はもちろんジョー・ストラマー、ユーモラスで南米色も濃く秀逸です。

詳細評価

物語
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演出
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