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魔王 (1996)

THE OGRE/DER UNHOLD

監督
フォルカー・シュレンドルフ
  • みたいムービー 19
  • みたログ 55

3.22 / 評価:9件

子供の“純粋さ”は場合に依っては…

  • bakeneko さん
  • 2010年6月23日 13時01分
  • 閲覧数 819
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

ある特異な純粋さを持った人物の半生を通して、第2次大戦前から戦争末期にかけてのドイツを感覚&象徴的に描いた、“人間&社会ドラマ”の傑作で、“戦争&洗脳の本質“を感覚的に見せる演出に戦慄させられる鋭い作品であります。

奇跡的な傑作「ブリキの太鼓」でも、“ドイツ的なるもの”を掴み出して見せてくれたフォルカー・シュレンドルフ監督が、ミシェル・トゥルニエ原作のベストセラーを映像化したもので、「ブリキの太鼓」の姉妹編的な作品となっていますが、主人公がより能動的に動く事が出来る分、“加害者としてのドイツとその贖罪”も描いて、前作の補完的な側面も感じさせてくれる映画となっています。

題名の“魔王”は、シューベルトの有名な歌曲に由来するもので、多くの人が内容を知っていると思いますが、―“子供を攫う悪魔”の意味であり、この時代の場合の攫われた子供達=ヒトラーユーゲントへの教育―という象徴は、現在にも通用する洗脳の具体例を見せて、善意に満ちた純粋な人々の恐ろしさを見せてくれます。
そして、終始受け身で歴史に流されていた主人公が主体的に行動を起こすクライマックスで、シュレンドルフは自己の2つの作品への自分なりの決着を見せているようであります。
本作の基本チームはフランススタッフですが、音楽は当時波に乗っていたマイケル・ナイマンが力強い曲を書いていますし、「田舎の日曜日」で鮮烈な映像美を見せたブルーノ・ド・ケイゼルが、明光溢れる光景や影絵の様な映像等の見事な絵を見せてくれます。そして、脚色はジャン・クロード・カリエールで、かなり原作を端折っていますので、ちょっと舌足らず&性急な展開もありますので気になった方は原作を御読みになれば良いと思いますが、原作のテーマはしっかりと捉えられているといえます。

“戦争と軍隊の出来かた”を分かり易く見せてくれて、“加害者と被害者は表裏一体”であることを痛感させてくれる社会ドラマでありますが、同時に数奇な運命を生きた人間のドラマを追体験出来る娯楽作品でもありますので、体力に余裕がある時に鑑賞をお薦めの力作であります。

詳細評価

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