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若者たち (1967)

監督
森川時久
  • みたいムービー 11
  • みたログ 69

3.94 / 評価:18件

みんな、ここから始まった

  • まんだよつお さん
  • 2018年1月1日 17時41分
  • 閲覧数 238
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

実は、テレビドラマ放映時に観た記憶はありません。おそらく何編かは親といっしょに観たと思うのですが、何か世の中の暗い部分だけを観せられたような気がして、無意識に忘れていたのかも知れません。

兄弟同士の怒鳴り合い、取っ組み合いの大ゲンカ。無知と暴力、大家族、貧乏、差別、薄汚い街並み。この刷り込まれた浅草以東、隅田川の向こう側のイメージは、のちに『寺内貫太郎一家』で払拭されるまで、ずっと僕を支配していました(「寺内……」の舞台は谷中でしたけど)。

俳優座、文学座の若手が演技を競い合った感のある作品ですが、兄弟五人を演じた田中邦衛、橋本功、山本圭、松山省二、そして紅一点の佐藤オリエのキャラクターは、この作品で完全に作られたといても間違いでないでしょう。

やくざから刑事を経て、『北の国から』で頂点を迎える田中邦衛の他を圧倒する泥臭い個性、あまり深く考えることのない直情径行、体育会系の橋本功(『皇帝のいない八月』ほかの自衛隊員)、戦中から高度成長期まであらゆるシチュエーションで左翼系活動家を演じきった山本圭(『戦争と人間』『新幹線大爆破』など)、甘えん坊で頼りない新人役の松山省二(テレビ『怪奇大作戦』)、清く正しく強いマドンナの佐藤オリエ……いい意味でも悪い意味でも、みんな、ここから始まったんですね。

五人以上に素晴らしいのが、佐藤オリエの中学校の友人を演じた夏圭子。倒産した工場の商品を風呂敷に包んでの行商から帰ってきて、冷や飯をメザシか何かをおかずに食べはじめ、苛立ちのままにお湯をかけてグイグイと流し込むシーン!リストラ、貧困という世の中の理不尽に負けない逞しさと強い意思が、観るものを圧倒します。『キューポラのある街』で吉永小百合が演じた少女より、もっと戦闘的で思想的にも一歩先を行く女性像。指導者として尊敬していた労働運動のリーダーに裏切られた彼女に恋をする橋本功の純情も忘れられません。

この二人をはじめ、兄弟の恋が描かれていきます。

上司に勧められた見合い相手から低学歴を理由に付き合いを断られる田中邦衛。大学を中退し山本圭から離れ実社会に飛び込んでいく栗原小巻。被爆者ゆえの差別から行方をくらます佐藤オリエの恋人、石立鉄男。彼ら、彼女たち、若者たちの恋は成就することなく終わってしまいます。

時は流れて2017年を生きる若者たち――熱い人間関係はダサさの象徴、労働組合なんか入らないよ。そこそこ稼いでいるし、格差社会って何さ、自分より上の奴らなんか知らないよ。選挙なんか行ったことないし、適当にやってればそれでいいんだ。バブルって、昔の話だろ――。そんな君たちを育てたのは確かに僕たち親の世代の責任かもしれないけれど、「君の行く道は希望へと続」いているのかい?

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物語
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