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修羅雪姫

dam********

3.0

「釈由美子の殺陣と疾走する列車」

 釈由美子が見たくて、この映画を見た。  じつは、ドラマも映画も、釈由美子のものを見るのは、初めてだ。  アクション・シーンがそれなりにあって、なかなかがんばっていた。  釈由美子のアクションを、もっとかっこよく撮ってほしかった。  釈由美子演じる建御雷(たけみかずち)家の雪姫は、二十歳の誕生日を控えて、母親の忠臣だった人物から、母がじつは現在の建御雷家集団のリーダー、白雷(びゃくらい)の手で殺されたことを知る。  現在の建御雷家は、国家が雇用する一種の暗殺集団らしい。しかも、何かの事情で集団を離脱する者が、絶えないようだ。離脱者には追っ手が向けられて、ほとんど殺されてしまう。  この集団は、どういうわけか、日本刀を戦闘用の武器にしている。銃器は用いないらしい。なぜかは、わからない。  雪姫もグループの一員だったが、母の死にまつわる事情を知って、白雷に復讐を挑む。現在の建御雷家は白雷が率いているので、結果として、建御雷家のメンバー全員を敵に回しての戦いになる。  一方、伊藤英彦演じる隆という若い男が登場し、障害者のかわいらしい妹と二人で、まわりに何もない荒れ地に、ぽつんと建つ家に住んでいる。この家の周囲には、まともな道路もなく、とても客など来そうにないのに、どういうわけか「七星石油」というガソリンスタンドをやっている。こちらは、古いパソコンを主な通信手段にして、城所(きどころ)という男の指示で反政府活動のようなことをしているようだ。  雪姫は、建御雷家のメンバーとの戦いで深手を負い、隆の手当を受け、たがいに信頼するようになる。  ところが、何かの事情で、隆と城所は対立することになり、隆と妹は、あっさりと射殺されてしまう。  雪姫は、白雷を倒し、最終的に復讐を成し遂げる。  だが、いったいこれは何なのだろう。  ストーリーは、書いた人間だけがわかっているといった代物だ。もうグズグズである。  脚本と演出は、酔っぱらって映画を作っているとしか思えない。  冒頭の説明で、五百年の鎖国が続く国という設定だけで、時代や場所など、物語の背景事情が、ほとんどわからない。画面の背景に、廃墟化したような、鉄骨がねじ曲がり、剥き出しになった建造物が、いくつか出てくる。これは、近未来の、何か戦乱の後なのかと想像させる。この建造物が、どれも不思議な形をしていて、じつはおもしろかった。それから、屋根の部分だけが見える、不思議な列車が走る場面があって、これは、かっこよかった。  そもそも、建御雷家一族が、どういう存在なのか、どういう事情で暗殺集団になっているのか、不明だ。一族というからには、メンバー同士は血がつながっているはずだが、映画では他人同士のようで、とてもそのようには見えない。訓練された戦闘集団のようだが、結束力が感じられない。  題名になぜ「修羅」が付くのか、雪姫はどういう立場なのか、そこらへんの事情も、わからない。    釈由美子と、映画の最初だけちょっとかっこよかったのと、背景の妙な建造物、それと不思議な列車に、大まけの☆三つ。  せっかく釈由美子を使って、その魅力の大部分が、引き出されていない。こういうのを、宝の持ち腐れというのだろう。

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