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みすゞ (2001)

監督
五十嵐匠
  • みたいムービー 34
  • みたログ 60

2.63 / 評価:16件

「見えぬものでも あるんだよ。」

  • hoykita194 さん
  • 2008年9月13日 21時58分
  • 閲覧数 1205
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

 夭折した詩人金子みすゞの伝記映画。
 金子みすゞは、明治36年(1903年)山口県大津郡仙崎村(今の長門市)に生まれた。昭和5年(1930年)26歳で亡くなった。死因は、カルモチン(睡眠薬)の大量服用による自殺である。
 この映画の最大の難点は、金子みすゞの生涯について多少知っていないと、人物関係やストーリーの流れがきわめてつかみづらいことだ。この点は、相当大きなマイナス点だと思う。
 ただ、その点は承知の上で作られているようだ。それを承知で、五十嵐監督は、思い通りの映画を作ったのだろう。そして、それでよかったのだと思う。
 金子みすゞは、その短い生涯に500編あまりの詩を書き残したそうである。
 この映画は、まるでいくつもの詩を連ねるように作られている。一つ一つの映像が、まるでそれぞれに自立した映像詩のような趣で、それぞれの場面がそのまま一編の詩になりそうな感じである。
 ところどころに挿入されるみすゞの詩が、映像と物語に自然にとけ込んで、少しも違和感を感じさせない。
 田中美里は、まるではじめから金子みすゞであるかのような雰囲気をたたえており、しかもその詩の朗読が、絶品である。
 たとえば、「きりぎりすの山登り」のかけ声が、じつに味わい深い。

 「きりぎっちょん、山登り
  朝からとうから、山登り。
  ヤ、ピントコ、ドッコイ、ピントコ、ナ。

  山は朝日だ、野は朝露だ、
  とても跳ねるぞ、元気だぞ。
  ヤ、ピントコ、ドッコイ、ピントコ、ナ。

  ……」

 みすゞの詩がすごいのはむろんだが、田中美里の朗読も、魂に届いてくるような朗読だ。何度でも繰り返し聞きたくなる。

 この映画は、映画というより、ほとんど映像による詩に近い。
 みすゞの悲劇を考えると、なんとも、悲しく、切なく、気持ちのやり場がないのだが、この映画はきっと、十分にみすゞの魂に届く映画になり得ていると思う。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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