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モーガンズ・クリークの奇跡

モーガンズ・クリークの奇跡

THE MIRACLE OF MORGAN'S CREEK

99

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5.0

無根拠な結婚、その政治性について

1944年。プレストン・スタージェス監督。幼なじみの若い男女だが、女性のほうはパーティに夢中で男を利用するだけ。ある日のパーティーで乱痴気騒ぎの末、誰とも分からない男と結婚してしまった(らしい)女性=しかも妊娠=が、幼なじみの男に救いを求めて、、、という話。身近な大切な人に気付くという正統的ロマンスであり、「結婚」とは制度にすぎないことを教えてくれる良質なコメディ。よいコメディは常に、極端な事例の提示で事物の根源に迫る。 酔っ払って意識がない状態、しかも偽名での結婚は有効なのかをめぐって女性が悩みますが、幼なじみの男が思いつく解決策は、もう一度偽名で結婚して離婚し、そして本当に結婚しようというもの。あいまいな状態を、ウソで上塗りして打開しようとするのがすばらしい。成功しないけど。結局、女性が産んだ子どもが「奇跡」を起こしたことで、知事の権力で結婚が認められます。「結婚」が無効か有効かは政治権力の鶴の一声だったのです。最初から疑問に付されている「結婚」の正当性が、誓いの神聖さではなく、政治力で解決すること。つまり神様のでる幕はなく、究極的に「結婚」に根拠はないのです。「結婚」=政治を強調するために、対戦中のムッソリーニやヒットラーまで登場します。 最初に結婚した(かもしれない)相手=子どもの本当の父親=を探そう、という方向に行かないというのがすばらしい。真実の追及よりもウソの上塗りのほうが政治性を描きやすいし、それこそがコメディの醍醐味なのでしょう。血縁関係をまったく考慮せず「男の子」というだけで喜ぶのは、遂行中の戦争と無関係ではないでしょうけれども、、、。

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