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モーガンズ・クリークの奇跡

モーガンズ・クリークの奇跡

THE MIRACLE OF MORGAN'S CREEK

99

hin********

5.0

大味アメリカ文化

 本作のようなスクリューボール・コメディを語る上で、プロダクション・コードとの関連性に注目すべきなのは言うまでもない。本作に関しても、プロダクション・コードがあったからこそ、抱腹絶倒の喜劇として成立しているのである。  プロダクション・コードの支配する古典的ハリウッド映画の一つのルールに、キャラクターの男性機能不全を暗示する表現として、体の機能に何かしらの障害がある、というものがある。例えば、フランク・キャプラの『我等の生涯の最良の年』に両手を失った人物が出てくるが(実際に演者が戦争で失ったらしい)、これは男性機能不全を暗示しており、実際に映画も男性性の喪失と回復を主題に置いている。本作の主人公は体に障害を持ち、軍隊に入れないでいる。この時点で本作がノーヴァルの男性性の獲得に主題を置いていることが明らかになる。  さて、彼の男性性はどうなったのかと言うと、よくわからないまま終わる。あたかも彼は男性性を獲得してめでたしめでたし、という風に描かれる。軍隊に入れたのだから形式上、彼の男性性は獲得されたと考えてもいいのだが、その根拠が彼の血が入っていない六つ子の男の子の誕生なのだ。  果たして彼の男性性は本当に獲得されたのか。そんな細かい、いかにも日本人的な疑問を尻目にアメリカで作られたこの映画は豪快に、強引にハッピーエンディングにこぎつける。この大胆さも、アメリカ映画の良さなのかもしれない、と考えさせてくれる映画である。あくまでこの強引さはコメディでしか通用しないが。

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