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ギャング・オブ・ニューヨーク

shinnshinn

3.0

スコセッシの力作。肩に力が入り過ぎたか。

劇場公開以来、久方の鑑賞です。2002年劇場公開のマーティン・スコセッシ監督作品。舞台は1846年のニューヨークで、世界的な大都市へと変貌を遂げる黎明期だと推察。当時の社会情勢は割と克明に描かれていると思う。物語は、この雑多な人種の移民の街で、移民先発組のイギリス系の集団(ネガティブ・アメリカンズ)と、その後から渡米して来たアイルランド系(デッド・ラビッツ)の対立のお話。東京なら、さしずめ邪悪な県人会同志の戦いだ。<ギャング>と言うが、いわゆる今の感覚のマフィアや暴力団、あるいはストリート・ギャングとは少し毛色が異なるのかもしれない。どちらかというと、特定の人種や宗教によるコミュニティやゲットーに近いのかもしれない。それにしても、本来、イギリス系アメリカ人が自分らを<ネイティヴ・アメリカンズ>と自称するのは可笑しいのだが、彼らには自分たちがこの街の基礎を作ったというプライドと自負があるのかもしれない(英国紳士風の山高帽はその象徴なのか?)。 スコセッシが長年暖めてきた企画(構想30年)らしく、わざわざ、イタリアのチネチッタ撮影所に巨大なニューヨークのセットを作り、とても贅沢で豪華に撮影されています。これだけお金をかけられるのは、やはり大巨匠、流石です。スコセッシの暴力描写にはほんのりと思想が感じられ、タダのドンパチ映画には終わらせていません。怒濤のクライマックスは<ニューヨーク徴兵暴動>といアメリカ史的大事件へと突入して行くのだが、少しコジツケがましいかも・・・。 主人公はあくまでもレオナルド・ディカプリオなのだが、主演男優賞に輝いたのは敵役のダニエル・デイ=ルイスでした。ネイティブ・アメリカンズのリーダー役で、暴力と恐怖で人々を支配しようとする悪役ですが、破天荒でエキセントリックな反面、哲学的でもある複雑な人物像を実に巧みに演じ切っています。ディカプリオもアベレージ以上の芝居をしているが、まぁ、相手が悪かった。26,7才のレオ様と脂の乗り切った44才ベテラン・オスカー俳優とではなかなかどうして・・・。本作でレオ様がダニエル・デイ=ルイスを完全に喰っていたら、彼の生涯の<勲章>になったはずだ。エラそうに言わせて頂くと、<限界>が見えた気もする。レオ様は確かに下手な役者じゃないけれど、この人のこの一本が即座に出てこない。「タイタニック」(97)ってそんなにいいか。「レヴェナント:蘇りし者」(15)での主演男優賞受賞もハリウッドへの貢献度が高く、長年無冠の帝王だったレオ様に対しての、一種の功労賞的空気があったと僕は見ている。実はレヴェナントを観ていないので何とも言えないのですが(観てから言え!っーの。笑)。 ヒロインのキャメロン・ディアスって<変な顔>。でも、可愛くないかというと可愛い。色っぽくないかというと、スゴーく色っぽい。キライかというと大好き(笑)。最近、女優としてモティベーションを失っているみたいだ。だれか、やる気スイッチを押しておくれよ(ヒロインは無理にしても、気の良いオバチャン役とかぐらいなら出来るだろうに)。 結論。余裕でアベレージは超えている作品、普通に素晴らしい作品です(ただの監督なら)。星3個の評価は自分的な心の内なる問題。つまりスコセッシの星5つの基準が「タクシードライバー」(76)であり、「グッドフェローズ」(90)なので。相対的なものです。よろしくどうぞ。

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