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モリツリ/南太平洋爆破作戦 (1965)

MORITURI/THE SABOTEUR, CODE NAME MORITURI

監督
ベルンハルト・ヴィッキ
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3.00 / 評価:3件

再評価されるべき傑作

  • Shoko さん
  • 2010年4月22日 17時52分
  • 閲覧数 431
  • 役立ち度 10
    • 総合評価
    • ★★★★★

なんといってもこの映画は知名度が低い。
日本語版のウィキペディアのマーロン・ブランドのページには主な作品の項目に名前も書かれていないほど。
さらに60年代半ばから「ゴッドファーザー」で再び注目されるまでのマーロンは、「過去の俳優」「落ち目の俳優」と思われていたというので、1965年のこの作品はまさにダメダメのまっただ中?
昔の戦争映画にもそれほど興味があるわけでもないし、、。

それでも見たのは、マーロン・ブランド研究中(?!)の私としては、良くも悪くもマーロンの歴史を見届けるのが自分の使命のような気持になっていたためで。

で、鑑賞直後の率直な感想。

「ぜんぜん、いいじゃない!」
「悪いとこ、まったく見つけられない!」


舞台は1942年の第二次大戦中。
反戦思想をもつドイツ人役のマーロンはイギリス軍に有無をいわさず工作員にさせられ、SS将校に化けて、日本からヨーロッパへ生ゴムを輸送するドイツ軍の貨物船に乗船されられます。
連合軍はその物資を略奪したいのですが、ドイツ側ではそれを恐れて、船に爆破装置をセットしています。
マーロンの使命はその爆破装置を解除して、無事に生ゴムを連合軍に渡すこと。

この映画のタイトル「モリツリ」とは古代ローマの闘志が死地に赴く時、国王に捧げる別れの挨拶に由来するもので、「死なんとする者」という意味。
まさにマーロンの使命の難しさを表しています。

爆破装置をひとつひとつ解除していく時、誰かに見つけられないか、ハラハラ。
ドイツ将校たちとの会話でも、正体がバレないかドキドキ。
そしてこの難関をいったいマーロンがどうやって切り抜けるのか。

船の中で繰り広げられる人間ドラマが本当に見ごたえがあります。
貨物船船長のユル・ブリンナー(さすが!)。
ユダヤ人少女役のジャネット・マーゴリン(悲しい運命をたどる彼女の表情は忘れられない。大きな目や唇の動きが多くを語ります)。
ナチ党員の副官役の俳優さんも、適役でした。

この映画を往年の戦争映画、スパイ、アクション映画ととらえると大間違いします。
すばらしい脚本、キャスト、シネマトグラフィーがそろった完成度の高い心理劇。
ハイ・テンションのサスペンス・スリラーなんですから。
そしてそういう場にこそ、マーロンの真髄が生かされるのですよね。

この作品はアカデミー撮影賞の白黒部門にノミネートされましたが、1966年までは撮影賞もカラーと白黒のふたつに分かれていたことを初めて知りました。
この作品はちょうど白黒映画の火が消えていく頃に作られたものなのですね。

マーロンの反戦思想はこの時代としてはまだ新しいものだったのでは。
人物描写も善悪がはっきりしているわけではなく、アメリカ人捕虜の側のユダヤ少女に対する非道な扱いをみても、かなり先取りした脚本だったかも。
にもかかわらず、丁寧な作りの白黒映画というフォーマットは昔ながらの戦争映画のイメージもあって、そのあたりのミスマッチが当時の観客には理解されなかったのかしら、なんて想像してみました。

現代の観客が新鮮な目でこの作品を見てみると、再評価されるのではないか。
そんな気持にさせられる映画でした。

詳細評価

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