あらすじ・解説
解説:allcinema(外部リンク)
作品レビュー(3件)
- 一人旅
5.0点
シンシア・スコット監督作。 バスが故障したため自然に囲まれた一軒家で自給自足の生活を余儀なくされる老婦人たちの姿を描いたドラマ。 一種の遭難モノなのに全くその空気を感じさせない不思議な映画。カナダのケベック州の森の中を走行中のバスが突然故障し、大自然の中に取り残された黒人の女性運転手と7名の老婦人が廃墟と化した一軒家で数日を過ごす...という“老婦人の自給自足の共同生活”を自然美溢れる風景とともに綴った逸品。 大自然の中で遭難という危機的状況にも関わらず、当のおばあちゃんたちはなぜか余裕しゃくしゃく。おばあちゃんの知恵袋的発想で、お手製のベッドを作ったり、葉っぱを使って怪我を治したり、タイツを利用した漁獲用の罠を仕掛けたりするし、中には故障したバスの下に潜り込んで修理しようと奮闘する、やたらメカに精通したおばあちゃんまでいる。 また、高齢者ならではのやり取りも印象的で、常用している内服薬を見せ合いっこする場面は特にユーモラス。 おばあちゃんの人生談議的会話劇が、有って無いようなストーリーの中心で、若い頃の初恋の話・結婚と離婚の話・子どもと孫の話・病気の話・セックスの話・戦争の話・生と死の話...など、人生を諦観したおばあちゃんだからこその会話が味わい深い。 おばあちゃん一人一人の“人生語り”の後に、若い頃の姿が映ったスチール写真を数枚挟み込む演出の素晴らしさ。おばあちゃんそれぞれの記憶の中にある、酸いも甘いも色んな人生を想像させてくれる演出で、これはもはや遭難映画の看板を借りた、おばあちゃん“愛”を描いた作品と言える。 おばあちゃんたち(俳優ではなく素人さん)の素朴な演技も魅力。いつも沈んだ表情で死ばかりを考えるおばあちゃんや、みんなと一緒にいるのが嫌で一人バスの中で過ごすおばあちゃん、和気あいあいと共同生活を満喫するおばあちゃんなど、素人とは思えないほど個々のキャラクターがしっかり分別されている。 音楽の使い方まで出色。主人公がおばあちゃん&緑豊かな風景に合わせて基本的には無音なのだが、時々流れてくるクラシック音楽は、そのタイミングを含め秀逸。情感たっぷりで頭から離れない。
- チーズ
5.0点
監督のインタビューなどを読んでいると、この映画にでてくるのは、ほとんどが素人さんだということだけど、本当に老婦人たちがどういう人生を歩んでこられたかしっかりこっちに伝わるし、大変うたれる。森の中でのバスの遭難で、はからずもサバイバル合宿をしなければいけなくなった老婦人たちの様子は、それぞれの人生経験からひっぱりだされたノウハウに満ちていてたくましくもあるのだけど、娘時代の魂のままというようなところもたくさんあり、現在高校生の娘や中年のわたしからまっすぐにつながっているものを大いに感じ、本当に人生の先輩の姿をみている、という気にさせられた。豊かな時間を提供してくれる映画。
- bakeneko
5.0点
ネタバレみんな実名で出ています!
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