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4.0

日韓合作によるスパイ映画の秀作

 日本もやればできるやないか、というのが観終わった感想である。スパイ物・謀略物といえば欧米の作品に秀作が多い。邦画は制作数自体が少ないように思う。(余談1)  しかし素材が無いわけではない。むしろ欧米諸国と同じくらいに素材はあるのだが、日本の社会的環境が許さないのか制作できなかった。(余談2)  金大中事件をめぐる自衛隊の謀略機関員と韓国CIAの共同作戦、自衛隊幹部役の佐藤浩市氏とKCIA諜報員役の金甲洙氏(キム=ガプス)の間にできた奇妙な友情、日本語しか話せない在日コリアン二世の不器用な学生役筒井道隆氏、登場人物の相関関係や物語構成と展開は渋い。  KCIAが狭い文化住宅で裏切り者を手際よく「処分」する方法も説得力があるし、韓国で最も悪名高き大統領朴正熙役の俳優が本人に酷似していた。  それだけに気になった箇所がある。金大中役の俳優の日本語がイマイチなのが残念だった。拉致事件直前の東京でインタビューに答える金大中氏のニュース映像を観たことがあるが、非常に流暢な日本語を話していた。どのくらい流暢かといえば、今の村上ファンドの村上代表くらいに捲くし立てて朴批判をやっていた。作中の金大中はあまりにタドタドしいので説得力が無かった。(余談3)日本語台詞少ないのだから、せめて「力道山」の薜景求氏(ソル=ギョング)くらいに練習してほしかった。 (余談1)市川雷蔵の「陸軍中野学校」シリーズは好きだ。 (余談2)例えば、愛川欣也氏はピーター=フォンダ氏の「イージーライダー」に感動して日本でも創りたいと思ったが、周囲の反対で「トラック野郎」になったそうだ。「イージーライダー」はアメリカ国内の貧富の差や南北問題を背景にした映画だった。  欧米映画では隣国問題・民族問題・社会格差はモチーフとしてありふれていて、そういった映画を日本人ファンもよく観ているくせに、自国の問題になると消化不良を起こすのは興味深い。  「ロッキー」は日本では徳山昌守選手(洪昌守)が該当する。「ダンス・ウィズ・ウルブズ」はアイヌと日本の関係、「ブレイブハート」はアテルイと坂上田村麻呂、「ダークサイクル」は東海村臨界事件、「麦の穂・・」は日韓問題など。日本は決して平和ボケできる環境ではないのだが・・。 (余談3)日本統治時代、中学生だった世代は概ね母国語同様に日本語が話せる。元大統領金泳三氏や元首相金鐘泌氏は日本記者団に日本語で話すが、金大中氏は10数年前くらいから日本語は話さなくなった。

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