ここから本文です

仮面ライダークウガ 新春スペシャル (2001)

監督
金田治
渡辺勝也
  • みたいムービー 5
  • みたログ 53

3.50 / 評価:6件

♪空っぽの星 時代をゼロから始めよう

  • 江楠 さん
  • 2011年11月8日 20時13分
  • 閲覧数 609
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

 そんな歌詞のOP曲で始まる、2000年1月からおよそ一年間放映された特撮ヒーロー番組『仮面ライダークウガ』。主演・五代雄介役/オダギリジョー。
 平成ライダーシリーズ第一弾にして、私が初めて「ヒーロー」を意識した、最高の、永遠の想い出の一作。


 時はミレニアム、異形の姿と力を備えた殺戮集団・グロンギ族が永い封印から甦った! かつて彼らを封印した古代戦士の変身ベルトを受け継いだのは、旅と皆の笑顔が大好きな心優しき青年・五代雄介。人々をグロンギの殺戮ゲーム〈ゲゲル〉から守るため、彼は仮面ライダークウガとなって戦うのだ!


 『クウガ』を観た人がまず驚くのは、そのあまりに緻密な設定とリアリティだろう。
 もし現実に仮面ライダーと怪人が存在したら、警察はどうする? という『平成ガメラ』ばりのリアルシミュレーションのもとに『クウガ』の作品世界は構築されている。

 仮面ライダークウガは、戦況に応じて姿と武器を変える四つの基本フォーム(形態)と弱体化時の白のフォームを備えている。物語後半では各々のフォームの強化版を獲得し、そのまた上をいく最強フォーム、そして禁断の究極フォームの計11種類のフォームが設定されている。
 早くも異常な種類の多さだが、クウガが各フォームを手に入れ使いこなしていく過程が説得力を持ったエピソードで語られていくために、視聴者が混乱することはない。

 そして怪人側のグロンギ族は、社会からはクウガとともに“未確認生命体”として認識されている。
 彼らは一人一人に異様な外見の怪人体と多種多様な衣装に身を包む人間体があり、集団内には何層ものヒエラルキーが存在し、いくつもの軋轢を生んでいる・・・といった複雑な様相を呈している。
 さらに彼らの使う古代の言葉と文字はこの作品のためだけに作られた創作言語であり、放映当時は訳字幕が付くこともなく普通にグロンギ語で会話が成されるという、子ども向け番組としては異例の事態だった。
 しかし秀逸な構図と非言語演出でそこは補完されており、何より人間体を演じる役者陣が生み出す強烈な個性が、皆残虐で感情移入の余地がないはずのグロンギのキャラクターを、魅力的といって差し支えないレベルにまで押し上げている。(『ダークナイト』のジョーカーがバリエーション豊かに何十人も登場すると想像してください)

 そして『クウガ』の目玉ともいうべきクウガと警察の協力体制。
 クウガ/五代は相棒の一条刑事を介した警察の支援を受けてグロンギと戦う。基本的に二話完結の作りで、毎回登場するグロンギの特性と彼らの仕掛けるゲゲルのルールは何か、遺された古代文字にはどんな戦いのヒントがあるのか、警察は精一杯の戦力でどのようにクウガを支援しグロンギを追い詰めるのか、クウガはどのフォームでどうやって勝つのか、そして次なるグロンギはどんなクウガ対抗策を講じてくるのか――そうした「戦術のやりとり」が克明に描かれる。

 このように、いわゆる「設定厨」が涙を流して喜ぶようなリアルな設定の凝り様なのだ。だが、ここまで「仮面ライダーもの」としてのリアリティを高めているにもかかわらず、他の平成ライダー作品と比べると、枠30分のうち本作の戦闘シーンは実はさほど長くない。

 作中ではグロンギとの戦いと同等かそれ以上の時間を割いて、五代雄介を中心とした人と人の交流が描かれる。
 有能だが人の心の機微には疎い一条刑事、古代文字解読を務める五代の幼馴染・桜子、五代が普段働くカフェの陽気な店主、対グロンギ兵器を開発するシングルマザーの科学者、五代のかつての恩師、etc、etc・・・。
 彼らはクウガではなく人間としての五代を通じて繋がり合い、グロンギとの過酷な戦いの中でも温かな絆を育んでいき、穏やかな心を保つ。その対話・交流もまた、いやそれこそがグロンギ/暴力との真の戦いであるかのように。

 その一方で、グロンギへの決定的戦力であるクウガとして結局は一人で戦い続けねばならない五代は、次第に強さを増すグロンギに対抗して自身も強化を重ね、代償としてその身体を人間離れしたモノへと変えていく。
 そしてグロンギの殺戮規模が拡大するにつれて、世の人々は恐怖と不安で心を荒ませていく。
 ラスト、一夜で3万人超の犠牲者を出した最強のグロンギとの死闘の果てに、一条刑事だけが見た、クウガ/五代雄介の素顔とは――。

 『仮面ライダークウガ』、この作品が一年かけて描いたのは、必死の、血を吐くような、心からの、暴力の否定と平和への祈り。そして孤独な戦士への鎮魂だ。
 新世紀の仮面ライダーはここから始まった。


 さんざん語ったけど、実はED『青空になる』のサビが全て。

 ♪君を連れて行こう 争いのない世界まで
  君がくれた笑顔だけ ポケットにしまって
  僕は・・・ 青空になる

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 未登録
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここまでです このページの先頭へ