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がんばれ、リアム

dkf********

3.0

話は重いが、トーンは明るい家族のドラマ

描かれるのは失業と貧困。それと日々苦闘する家族の物語をリアムという一家の末っ子を中心に語られる。30年代の設定だが、時代考証を意識したような粗めのザラついた映像と黄色がった色調が当時の雰囲気を醸し出している。 ただ、シリアスなストーリーのわりに全体的なトーンは明るく、観ていても気分的に重くはならない。なにより、この家族ならこれからもこの環境下でも逞しく生きていけるだろうと思わせる希望を持たせる演出が良い。 手掛けたのは英国人のスティーブン・フリアーズだが、この人、本当に職人監督の称号がふさわしい。なにせ本作の前に撮ったのが米国産の音楽映画「ハイ・フィディリティ」というから、あまりの作風とテーマのギャップに啞然とするが、どちらも高いクオリティで仕上げて実に見事な仕事ぶりだ。他にも佳作は多いし、巨匠というまでの評価はないものの、確実に良い仕事をする優秀な監督だと思う。 ひと昔、ふた昔前頃の英国映画でよく見かけたイアン・ハート(そういや、ハリー・ポッターにも出てたっけ?)が父親役で出演しているが、そういえば最近はめっきり顔を見ない。個人的には彼の顔を見るだけで「ああ英国映画観てるなあ」と思わせる俳優だっただけに、ちょっと残念だ。 まさに英国社会派映画の定番テーマを英国人スタッフと英国人俳優が作った濃厚な英国の香り漂う小品。このテイスト、個人的には好きだなあ。

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