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落穂拾い

落穂拾い

LES GLANEURS ET LA GLANEUSE

82

ser********

4.0

うちのカミさんも《落穂拾い》人です

 「もったいない」  今では世界に通じる日本語だそうだ。アメリカとともに消費大国となったこの国から消えつつあるこの言葉、世間では食品偽装の言い訳に使われたりと用途も様々だが(笑)、実際格差社会となりつつある今、再び復権してもらいたい言葉でもある。そもそも現代人は何でもメディアに振り回され、まだまだ使える物さえ簡単にポイ!とするイヤな習性を身につけてしまったわけで、日常品が次々と値上がりする昨今、少しは物持ちを良くするとか、節約上手になるとか、「もったいない」の精神を抱くべきだと思うのは、果たして私だけか?隣国が大量に物を消費し、わが国の繁栄に影をさす今だからこそ、もう少し日本人は「もったいない」の言葉に耳を傾けるべきだと思う。少なくとも昭和30年代を見ながらすすり泣き、傍らでホップコーン喰ってる場合じゃない(笑)。  それに比べるとうちのカミさんはすごく経済的な人だ(笑)。ここ数ヶ月、我が家では異様な匂いが漂っていた。何かと思えばそれは銀杏。カミさんが近所の公園や何やらで拾ってくるのだ。臭いんだけど皮をむき、その種を洗って干したら見事酒のツマミとして最高な食材と化す。とにかくその匂いのすさまじさといったらないのだが(笑)、元は農家の生まれ、そーいう食材の素晴らしさを熟知しているせいか、食卓に並ぶとき、  「いいカミさんもったよなあ、俺って」  とカミさん自慢をついしちまうぐらいだ(笑)。とにかく彼女は物持ちがいい。食材を余す事なく使い、もったいないの精神が行き届いている。そのせいか、貧乏ヒマなし物書きの私だってそれなりに生活が出来るわけだ。最近では野ざらしになっている夏みかんを公園からもいで来ては、それで焼酎割り。そのせいか妙に肌のツヤがいい!これこそ昭和の生き方(笑)。おーるうぇいずッ!である。    で、この映画。尊敬するフランスの女流監督アニエス・ヴァルダが撮ったドキュメンタリー。まさにこの《もったいない》を体現する人々の姿を集めた人間賛歌だ。ここでいう落穂拾いとはまさにそーいう食材を集めて生活する人々。日本でも当然そうだが、商品は「見た目」で選ばれる。だから当然規格外となるものはボツにされる。八百屋で形の悪いものが並ぶ事はほとんどない。売れないから。そーいう野菜は収穫されず捨てられる。それを拾いに来る人達。当然貧乏である。生活保護を受けている人から家庭に問題のある人、失業者。だが彼らの顔には悲壮感などない。  それは当然パリの街角でも存在する。マルシェ=市場の終わり頃、転がる野菜やゴミとして捨てられるクズを拾う男。そんなに悲壮感はない。その姿はまさにミレーの《落穂拾い》の如く、どこか崇高な香りがする。人々の営みを見つめるヴァルダ監督の視点の優しさ、そして人間の美しさ。これらに比べるとブランドものに追いすがる日本人の醜さが際立って見えて何か悲しくなる。  物には命がある。それをどのように利用し互いに《生きて》いくのか?まだまだ使えるものを平気で捨て、必要のないものまで買い込む現代人は、かつて日本人が大切にした精神=もったいないの意味を外国人から教えてもらうていたらくな人種へと成り下がった。八百万の神、を信奉し何事にも神が宿っていると考えた昔とは考え方も随分と変わったのはよく分かるが、せめてもう少し物を大切にする風潮へと戻って欲しいものだ。ゴミ捨て場に捨てられる多くの《物》の涙が見える(笑)。  とはいえ、何でももったいない精神が行き着く先はゴミ屋敷、という事にもなりかねないのでそこはほどほどにしないと(笑)。    ま、今回はいつも支えてくれるカミさんへの賛歌という事で(笑)。  うーん、私には「もったいない」カミさんだ(お後がよろしいようで 笑)

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