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ALI アリ (2001)

ALI

監督
マイケル・マン
  • みたいムービー 52
  • みたログ 733

3.01 / 評価:148件

モハメド・アリの伝記映画として

  • koj***** さん
  • 2015年7月21日 10時52分
  • 閲覧数 1883
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

「モハメド・アリ」という名は勿論知っていたのだが、伝説的なボクサーということ以外、どんな人物なのか、いつの時代に活躍したのか、全く知らなかった。私がボクシングというスポーツに対して関心も知識もなく、それどころか「怖い」と敬遠さえしていたことがその原因の大部分を占めているのだろう。

この映画は、アリがどんな人物で、どんな時代背景の中で、どんなことをしてきたのか、という前半生をドキュメンタリータッチで追うことができる作品だ。アリ役はウィル・スミス。私的に『メン・イン・ブラック』の陽気なエージェントJ役のイメージが強いのだが、今回は実在の人物を”そっくりに”演じており、「アカデミー好みの演技だなあ」といった印象。予想に違わず、その年のオスカー主演男優賞にノミネートされていた。

私が「この作品を観たい!」と思ったきっかけは、キング牧師を扱った『グローリー』を最近観たことである。この時代、アメリカに蔓延していた複雑な空気感を私はほとんど知らなかった。ベトナム戦争、黒人差別の撤廃…アメリカの暗部が抉り出された、暗く不穏なエネルギーが充満していた時代だ。
『グローリー』ではそういった背景は「もう知ってるよね~」という感じで軽く流されていて、知らない者からすると多少説明不足感が拭えなかった。それを補うため、同時代の黒人を扱った映画が観たくなったのだ。

『グローリー』でちょこっと出てきたマルコムXが、こちらでは準主役級の扱い。それもそのはず、マルコムXとアリは同じ宗教団体「ネイション・オブ・イスラム」の同志! 一流スポーツ選手が、政府からも目を付けられている一種のカルト教団(?)に入信していた、という事実には驚いた。
それにも増して、アリがアメリカ政府の理不尽な圧力にさらされていたことは驚愕の事実だった。ベトナム戦争勃発時、アメリカ国中が戦争賛成ムードだったのは『7月4日に生まれて』で知っている。そんな中で「どこにあるかも知らない国の貧者を殺すのはおかしい」、「ベトコンに恨みはない」と徴兵拒否するのは、相当強い信念や意志の持ち主でないと出来なかったことだろう。数年後、世論が反戦ムードに転じるのも今の時代の立場から見ると分かっているが、その時代の真っただ中にいたアリには、とても長い、地獄のような数年間だったはずだ。
それでもアリは、そんな不当な扱いにもめげず、純粋に「ボクシングチャンピオンに返り咲く」ことだけを追求していた。

実際にあった有名な試合が複数再現されているが、全く知らない私からすると「へえ、すごい試合があったんだな!」とか、「ええ!? なんで反撃しないんだ? 負けちゃうじゃん!」という反応だった。実際の試合を知っている人からすれば、あそこは血沸き肉踊るアドレナリンマックスなシーンだったのだろうな。
アリのボクシングスタイルは「蝶のように舞い、蜂のように刺す」らしいが、それを意識したのだろう、彼の”蝶が舞うような”軽快なフットワークを映すため、試合中は足元のショットがとても多い。そして”蜂の一刺し”である強烈なパンチも、相手目線になったカメラで迫力満点に捉えられている。
撮影監督は今を時めくエマニュエル・ルベツキ。アカデミー賞の常連である巨匠の手腕は若い頃から健在だった。

今で言うところの”ラップ”で対戦相手をこき下ろすスタイルだったらしいアリを、グラミー賞受賞経験のあるラッパーだったウィル・スミスが演じていたり、アリのトレーナー(?)バンディーニを、ミュージシャンでもあるジェイミー・フォックスが演じているなど意図的なキャスティングも惹かれるものがある。

ただ、特に心に残らずスーっと流れていってしまった印象なのは、私がボクシングに興味がないからか、マイケル・マン監督作との相性が悪いのか? 
伝記映画の趣なので、時代背景のお勉強には良いのだが、ストーリーの展開が散漫になりがちで、娯楽映画としては厳しいかな、と思ったり(時間も長いし)。
ジョン・ヴォイドは良い役だったけど、メイクも喋り方も髪型も変わりすぎてて誰だか分からなかったよ!

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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