3.0点
まぁ、ホラーは全部、本当にあったら怖いんですが、 本作のアイデアは、都市伝説とかにありそうな、ちょっとありそうな怖い話。 要は、"人体の研究に没頭する一部の医師達が、 人を拉致し、生きたまま解剖するという、行きすぎた研究を行っている"と、 なんとも不気味で、しかし、そこはかとなく、ありえそうな匂いがする。 よくよく考えれば、過去にそういった行為があった上で、 今の医術が存在し得たというのは不自然な話ではなく、 むしろ、遺体だけの解剖研究で今の医術が確立されたと考える方が不自然。 論理だけで実践出来る事など、この世には殆どない。 人の脳内でシミュレート出来る事などたかが知れてるわけで、 どこかで実践により、論理と実技の精度を上げる過程が必要になる。 今日の医療技術の恩恵を、我々は当たり前の様に享受しているけど、 人間が創り上げてきた医療技術というものは、本当に凄まじいものだと思う。 長い歴史の積み重ねが、この高度な技術を確立したと言えるけれど、 やはりダークサイドと言える部分はあっただろうし、今でもあるはず。 医療技術そのものが、そもそも倫理の際にあるとも言える。 元々そこで死ぬはずの人間の肌を切り裂き、体内に直接手を加えて延命させるわけだから、 よくよく考えれば、医療技術は、倫理的にダークサイドと一体とも考えられる。 そんな存在だからこそ、医療関係には都市伝説の噂が尽きないわけで、 場合によっては、医師や看護師、薬品会社など、医療関係者に対しての疑念に満ちた噂も立つ。 火の無い所にも、現実には噂は立つものだけれど、 火をつければ、燃えるだけの素地は持っているもの。 本作は、そういった医療というものの素地を考えれば、 無いとは言い切れない、なんとも言えないリアルな匂いがする。 印象としては、旅行先で拉致され、 金持ち達が行う殺人ショーの被験者にされる映画、"ホステル"に近いものがある。 ただ、個人的には"あり得なさそうでありそう"というリアルな背景が面白く、 序盤は「これアタリか?」と食いつきました。 ただ、残念な事に、中盤以降、真相が明らかになった辺りからが雑。 最後はB級サスペンスみたいなノリになってしまったけれど、 もう少し、不気味な怖さと言うモノを最後まで継続して欲しかった気が。 まぁでも、全体的にはそこそこの拾いものだった気がします。