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スリープレス (2001)

NON HO SONNO/SLEEPLESS

監督
ダリオ・アルジェント
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  • みたログ 72

3.32 / 評価:31件

アルジェント久しぶりの本格「ジャーロ」

  • カナボン さん
  • 2009年7月28日 23時13分
  • 閲覧数 408
  • 役立ち度 16
    • 総合評価
    • ★★★★★

割と夏は涼しいと思われている我が街長野市。とんでもありません、若干朝は涼しくなりますが、夜なんか寝苦しいこと。毎年のことながら寝室にクーラーのない我が家、ほんと夏はグッスリと眠れません(涙)

というわけでアルジェント祭り第2弾は「スリープレス」です。

アルジェントが最も得意とするのはいわゆるジャーロ。くどいくらいにネチッこい殺人シーン、スタイリッシュに光と影をふんだんに使いまくるカメラワーク、そしてそれにかぶさる忘れられない音楽の数々。これらイタリア独特の特徴をもつミステリー作品こそ、アルジェントの出発点でした。デビュー作の「歓びの毒牙」から「わたしは目撃者」、そして私個人的にジャーロ最高傑作として輝く「サスペリアPART2」と初期のアルジェントはジャーロ一色。その彼が2001年に実に久し振りに作った本格ジャーロがこの「スリープレス」です。

小説でも同じことですが、残酷さや過激なBGMを特徴とするジャーロ映画でも決して破ってはならないルールがあります。真犯人の意外性、そしてこの人物を早い時期から画面に登場させていること、更に観客に謎解きのヒントを与え続けなくてはならないこと。
しかしこの手の映画を観る方もなかなかしたたか、最も犯人らしくない人物こそ真犯人だということが分かっている以上、どうしても穿った見方をしてしまう。だから最初の意外性という要素は、今では殆ど観客に訴えることは不可能に近い。

とすれば、いわゆる伏線をどのようにちらつかせるかということになります。この点、本当に驚いたのは「サスペリアPART2」。あれは本当に凄い魅せ方でした。後にも先にもミステリー映画であれ以上の衝撃を受けた作品はありません。

さて本作ですが、アルジェントが久々に挑んだ本格ジャーロもの、大抵の方は真犯人の目星はついてしまうでしょう。しかし事件の背景がいわゆる見立て殺人。「天使と悪魔」でも書きましたが、個人的にこの見立て殺人もの、一番ワクワクするミステリーです。石坂金田一の「悪魔の手毬唄」、「獄門島」はこの手の映画では最高傑作。さすがにこの両作品にはかないませんが、見立て殺人というこの設定に本作もかなり引き込まれます。

見立て殺人自体としては、それほどインパクトがあるわけではありません。しかしこの映画はミステリー映画として非常に丁寧に作られています。犯人の目星がついてしまうのは仕方がないことですが、10年以上昔の連続殺人と、今再び繰り返される快楽殺人。この二つのつながりと犯人像の真相にはああ、なるほどと思わされます。

ただアルジェント映画の魅力の一つである美しさすら感じさせる惨殺シーンは正直いまひとつ。飛び散る血飛沫をとっても、往年のパワーが不足していることは明白。序盤の列車内のシーンにしても割と時間をかけた映像で、いかにもジャーロらしいんですが、あまりに淡々としている印象を受ける。アルジェントの映像の美学には光と影のコントラストが不可欠なのですが、如何せん本作は暗い場所での殺人シーンが多く、誇張すぎる位の鮮血の赤が活かされていないのですよね。

確かにミステリーとして、観客に真犯人を推理させようとするサービス(?)は認められますが、逆にこれらのシーンが多すぎて冗長に感じてしまう。何となくアルジェント映画らしくないのです。

ただ、さすがジャーロの申し子、変態アルジェント。これまたジャーロには不可欠な要素、意味のないヌードなどのエロ描写(笑)はしっかりと押さえていますw
また、「サスペリアPART2」にも見られたコミカルなシーンも多少あって、ニヤリとさせるのもニクイですねw

出演者でやはり最も押さえなくてはならない人は、もちろん名優マックス・フォン・シドー。10年以上前の殺人事件の担当で、今は引退した元警部を好演。やはりこの人が出ると、映画そのものが引き締りますね。

そして個人的に興味深く感じたのが、主人公の親友の父親を演じたガブリエル・ラビア。かなりお年を召されて最初は気づきませんでしたが、この人「サスペリアPART2」で物語の重要人物カルロを演じていた俳優さん。ちょっとネタばれになりますが、本作の役どころと「サスペリアPART2」でのカルロ、スタンス的には全く同じ役。何か感慨深いものを感じましたね。

このようにスタイリッシュで芸術的な殺しの美学としてのアルジェントを求めると、ちょっと物足りませんが、それでもミステリー映画としてはそこそこ良くは出来ています。グロさもさほどでもないので、アルジェント映画の入門作として見るにはいいかも知れませんね(笑)。

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