ヤコペッティの大残酷
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(4件)

セクシー16.7%不気味16.7%絶望的16.7%不思議8.3%ファンタジー8.3%

  • par********

    5.0

    ヤコペッティの大爆発!!!

    パゾリーニの映画に彼の性癖を爆発させた「ソドムの市」なんて名作があったけれど、これはまさにヤコペッティの「ソドムの市」みたいな映画だ。 原作はフランスの思想家、ヴォルテールの『カンディード』。城館を追放されたガンディードがクネゴンダ姫を追い求める苦難を描く。神に裏付けされたライプニッツ哲学の楽観主義を批判するために上梓された小説だそうで、本作も哲学的なやり取りが散見される。退廃的で非現実に揺れ動く哲学世界は、まるでホドロフスキーのカルト映画を想起させる。するとこの映画は難解で面倒臭い映画なのか、そうではないと思う。やっぱりこれもヤコペッティの”モンド”映画なのだ。 クネゴンダ姫に求愛してしまった為に、”この世でもっとも最善な”城館を追放されてしまったガンディードは、生き別れてしまったクネゴンダ姫と再開するため、世界を歩き回り、人類の醜い歴史の数々を目撃する。 ガンディードが暮らしていたファンタジーな城館は、まぁ理解しがたい美的感覚ではあるが、とりあえずそこは楽園らしい。その楽園、ファンタジーを追放されたガンディードは醜い現実の世界を歩き回ることになるのだが、その舞台が現代アメリカだったり、異教徒への拷問が繰り返される中世だったり、女性が軍人として命を散らしていくイスラエルだったり、リアルの世界が描写されている。 もちろんそのようなシーンが18世紀に発表されたヴォルテールの原作にあるわけもなく、ヤコペッティによる創作ということになる。 中世、近代、現代と、あらゆる人間の愚行の歴史を総決算させることで、「この世はすべて善くできている」という楽観主義を批判するヴォルテールの趣旨がより強烈に観客に訴えかける。 人類への強烈なアイロニーを美しく訴えつつ、そして本作はいつもと変わらぬ、楽しい楽しいヤコペッティ印のモンド映画なのだ。だって、ヤコペッティの仕事というのは、人類がバカみたいなことをやってるのを、ニヤケ笑いを隠しつつ面白おかしく、真面目ぶってバカにすることなんだから。 本作も例外ではない。世界のあらゆる”悲惨”を描きたくてしょうがない、しょうがない、そんなヤコペッティの溢れ出さん気持ちが画面いっぱいに伝わってくる。 パゾリーニが自らの性癖をマルキ・ド・サドという巨匠の衣を借りることで、その願望を満たしたように、ヤコペッティもヴォルテールの原作を名乗ることで己のパラダイスを実現したのだ。 ヤコペッティファンとして、ここまでゲレツでゲヒンで美しくアイロニーに満ちた作品を魅せられては、感動する他はない。 お気に入りのシーンをいくつか。 冒頭のファンタジックなお城の描写が好きだ。小人や奇形児が喜々として城内を走り回り、ある人は全裸の動かぬ彫刻となり、醜い夫人は糞尿を垂れ流す。哲学者は言う。”これぞ最善の世界だ!” いや、これは神ではなくヤコペッティにとっての最善の世界なんでしょう。こんなフリークスな世界が好きで好きでたまらない!そんな思いが凝縮されたシーンだった。彼は人や文化をバカにするのが大好きだが、そのバカにしてる対象を誰より愛してるのも、また彼なのだ。 中世の拷問シーンもいい。何と言っても拷問だ。もうそれだけでとても楽しい。拷問っていいな、できたらいいな、そんな一部の人類共通の願望を果たしたような図で、楽しいこと楽しいこと。 ところでこのチャプターから相棒となる黒人奴隷のカカンボが登場する。前作(残酷大陸)と変わらず黒人を小馬鹿にした姿勢はそのままで、うん、いつまでもその純情な君でいてくれ、なんて思ったりする。 クネゴンダ姫がレイプされるシーン。この映画で一番好きなチャプターだ。それは悲惨な場面なのかと思いきや、クネゴンダは自ら股を開きに行って、どうみたって和姦である。リズ・オルトラーニのコミカルでポップな音楽と協調するように、足腰をフリフリと動かしセックスするシーンは、何だか感動的なまでにカッコイイ。映画史に残るセックスシーンだ。 オルトラーニとヤコペッティは切っても切り離せない。オルトラーニの大仰に美しい音楽が、ヤコペッティの独特の映像センスを何十倍にも効果的に仕上げてしまう。この映画で最も美しいシーンは、イスラエルの女性兵たちが機関銃により次々と身体を貫かれ、深紅の花が咲く大地に身を倒してゆく場面だろう。 この二人がコンビを組んでしまうと、人類に対する”無情”のようなものを感じてしまって、なんだかあらゆるモノが空虚に思えてしまう、そんな気分になる。 それは本作の、人生は善でもなく、悪でもなく、ただ流されるだけというテーマと通底している。彼の総決算に相応しい作品だ。 何だか目ぼしいシーンの殆どを挙げてしまった気がする。でもそれだけ楽しい映画なのだ。世界は悲劇に満ちてるのかもしれないけれど、この映画に限っては悲劇も楽しい世界なのだ。

  • 一人旅

    3.0

    ヤコペッティのカオスな世界

    TSUTAYA発掘良品よりレンタル。 グァルティエロ・ヤコペッティ、フランコ・E・プロスペリ監督作。 ウェストファリアの城主の娘・クネゴンダ姫を愛する青年・カンディードが、離ればなれになった姫を捜すため時空を超えて世界を旅する姿を描いたファンタジー。 師からの教えである「この世の全ては善」を反証するように、カンディードは世界各地であらゆる残酷=悪を目撃していく。シュールで理解不能な映像のオンパレードなので、物語だけを単純に楽しむことは難しい。“姫を見つけ出す”という基本的な目的はあるものの、映画の主役は鑑賞者に視覚で訴えかける強烈な映像世界だ。 近世(?)が時間軸の基本であるはずなのに、現代のニューヨークや戦火のアイルランドに一瞬で物語の舞台が移動する。 クリストファー・コロンブス、アル・カポネ、マリリン・モンロー、ヘンリー・キッシンジャー、ドナルド・ダックら歴史上・架空の有名人が一斉に同じ船に乗船するシーンや、近世の城に突如ギタリストが登場するシーン、甲冑を着た兵士と姫が絡み合うシーン、赤い花畑を真っ裸の女兵士が銃を乱射するシーンなど、無秩序・不可思議な映像の連続で観る者を圧倒する。 他にも、KKKのような白い集団が黒人奴隷をリンチしようとしたり、野蛮な男が死んだ娘の肉体を死姦しようとするなど衝撃的で背徳的なシーンが目白押し。 近世の兵士と現代の兵士が激しい戦闘を繰り広げるシーンは、遥か昔から戦争を繰り返してきた人間の歴史を象徴する。 また、市街地で銃撃戦が起きているにも関わらず、そこで暮らす一般人が何食わぬ顔で普段通りの生活を送る様子を映し出したシーンは抜群のセンスで、個人的に一番のお気に入り。戦争という一種の文化が、人間社会にいかに深く浸透しているか(戦争≒日常)を暗に仄めかしている。 そして、姫を捜す旅の過程で、清楚な処女だったはずの姫が男の味を知ることで立派な“女”となり、時の経過とともに美貌が失われ年老いていく様も、この世の普遍的な残酷さを表現している。 徹底的にこの世の悪を描いた作品ではあるが、この世の全ては善ではないが悪でもない、というのが本作の根底にある主張であり、善悪を判断すること自体がそもそも無意味であるとしている。終盤映し出される悠々とした川の流れのように、人間は時の流れに身を任せ、あるがままの現実を受け入れる他ない。

  • tri********

    3.0

    なんと言うか。。。

    チープ、皮肉、哲学、独特の映像。 こういう世界観が好きな人にはたまらないでしょうね。 ヴォルテールの原作カンディードを知らないと解りづらい。 ちょっとグロ表現があります。裸はたくさん出てきます(笑) まぁ観るものが無くなった時にでもどーぞ。

  • ステレオ

    5.0

    ネタバレ人生とは善でしょうか、悪でしょうか。

    このレビューにはネタバレが含まれています。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
ヤコペッティの大残酷

原題
MONDO CANDIDO

上映時間

製作国
イタリア

製作年度

公開日
-

ジャンル