この不思議な鑑賞感が心地よい
- najarake さん
- 2021年1月6日 19時35分
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モノクロ版とカラー版があるようですが、カラー版で鑑賞しました。カラー版と言ってもどこかセピアがかった儚そうな映像が・・・本当はなぜモノクローム版であるのか、またセピア系の映像であるのか・・・。
原題と趣の違う邦題だけど、観終えて、なんとなくこの邦題、よく考えたんだろうなあ、と思えます。
河を流される船頭のない船に乗っかって、景色を眺めるようなこの不思議な感じ。
もう終わった、と思ったら、ええっそこまで語る?というくらい徹底して描き切ります。
そして、最後の最後、なぜモノクロ版とセピア系カラー版なのか、その理由が、ああ、なるほど、と大きく納得します。原題「そこにいない男」という意味も含め。
邦題の「バーバー」も、作り手がなぜ主人公を「床屋」にしたのかをよくくみ取っているのではと思うのです。このストーリー、主人公が探偵やギャングであったらどうにもこうは展開しないし、弁護士・政治家であったなら「スキャンダル」話になってしまうし、ふつうの営業マンであれば「組織」とのかかわりでとてもこの主人公のような行動には出ないんじゃあないか・・・そう、社会的地位もさほど高くなく、組織に縛られることのない手に職をもった、そして職人としてもよくいそうな・・・よく考えられているんでは?そういう意図をくみ取っての邦題ではなかったか。
ストーリーというより「展開」いや「顛末」と言った方がいいこのお話、落語にもできそうな、ブラックでありながらフフっと笑わざるをえない、上質なお話。
今、SFアクションで大活躍のスカーレット・ヨハンセンが17歳の少女役ででています。これも「おお、こんなところで」という、今日ならではのお宝か?
とにかく大おすすめです。
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