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ありふれたファシズム/野獣たちのバラード (1965)

OBYKNOVENNYJ FASHIZM/ECHO OF THE JACKBOOT/A NIGHT OF THOUGHTS/ORDINARY FASCISM/TRUMPS OVER VIOLENCE

監督
ミハイル・ロンム
  • みたいムービー 1
  • みたログ 5

5.00 / 評価:3件

大衆は常に神と敵を求めている…

  • bakeneko さん
  • 2021年3月17日 17時57分
  • 閲覧数 56
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    • 総合評価
    • ★★★★★

1965年にソ連で作られた、ヒトラー時代のドイツの精神的状態を解剖して見せる=“ナチズム解析ドキュメンタリー”で、ドイツ&ソ連のみならず、世界中の記録映像を取捨選択して、“ファシズムの本質”を浮かび上がらせてゆきます(日本版のナレーションは宇野重吉)。

十五章に分かれた形式で、ナチスドイツの成り立ちと歴史、そしてファシズムの本質を、ヒトラーの台頭以前から再びファシズムが復活して来ていた現在(1965年)まで総括的に提示してゆくドキュメンタリーですが、戦争や事件のみならず、文化風俗や娯楽まで広範の映像を使った緩急を付けた作劇によって、硬派なドキュメンタリーでありながら娯楽作としての側面も持ち合わせています。

共産主義の眼鏡を通して観た視点は、“ドイツのみならず他の資本主義諸国の王族や政治家がナチスドイツと五十歩百歩”という現実を看破していて、武器財閥と政治家が結託して戦争を起こす―近代戦争の仕組みも提示しています。
そして、ヒトラーの「我が闘争」の記述やナチスプロパガンダの手法を解析することによって、“大衆が如何に為政者に操られてゆくのか”を具体的なノウハウや群集心理分析を示して提示していて、決してヒトラー一人の責任として片付けられない=大衆の欲求がファシズムを呼び込んだことを、丁度ハンナ・アーレントが1965年に提唱したばかりの“凡庸なファシズム”も副題に掲げて解説してゆきます。

凄惨な場面や死体を見せた後は、子供たちの無邪気な様子や煌びやかな映画スターやミュージカル場面で一息つかせるーといった緊張と弛緩を持たせた語り口も見事なドキュメンタリーで、挟み込まれるマレーネ・ディートリッヒの容姿やマリーカ・レックのダンスシーンは華やかですよ!

ねたばれ?
1、大砲で有名なクルップ財団は戦後も変わらず繁栄しているんだ(日本の財閥も大半は生き残ったし…)
2、ベトナム従軍用に訓練されていくアメリカ兵士をナチス兵士たちと重ね合わせる視点は、本作の3年後に起こった“ソンミ村虐殺事件”を予見しているかのようです

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