野獣特捜隊

重案実録0記/ORGANISED CRIME AND TRIAD BUREAU

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野獣特捜隊
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(1件)


  • xi_********

    4.0

    二人の男の代表作

    カーク・ウォンやダニー・リーをご存知だろうか。 香港映画には90年代のひと頃だけ流行った「実録犯罪モノ」と言う、香港映画マニア以外の人たちには「それって「香港ノワール」と何が違うの?」とツッコミを喰らいそうな、知る人ぞ知るジャンルがある。 そのジャンルの黄金期(一瞬だったが)を支えたのが、前述の二人。 カーク・ウォンは、80年代に現れた香港ニューウェイブの連中(ツイ・ハーク、ジョン・ウー等)とは少し毛色の違う監督だった。世代的にどうこうと言うより、この人だけ異様に「熱い」映画を撮っていた気がする。いや、勿論ジョン・ウーの「男たちの挽歌」だって相当に熱いんだけど、カーク・ウォンの映画はアレとはちょっと違う。何と言うのか、彼の撮る映画と言うのは押し並べて「熱血」振りが際立っていた。 ダニー・リーはその体現者。別に二人がタッグを組んだ作品を連発してたわけじゃないけど、このジャンルを世に放ったプロデューサーとして、或いは俳優として、あの当時「熱血刑事役」と言えばこの人以外には考えられないくらいの存在だった。その上、カーク・ウォンと同じで異様に「熱い」。この人の場合、無表情でも顔の造形それ自体が熱血してるから、少し気色ばんだだけで「熱血刑事」になれちゃう人だった。 この同じ特性を持つ二人が出会ったのが「野獣特捜隊」。 面白くて当然。 「鬼刑事」のリー(ダニー・リー)と麻薬組織のボス・トン(アンソニー・ウォン)の対決を描いたこの作品。一応は「実録犯罪モノ」を名乗るだけあって実際の事件を参考にしてるそうだが、それもどこまでが本当なのかは微妙なところ。だって、カーク・ウォンはこの「対決」に感情移入しまくりの脚色演出で、思わず「素晴らしい!!」と言いたくなるくらい「侠気に溢れる熱血ドラマ」に仕立て上げてるから。これを真面目な顔して「実話です」なんて言われたら、苦笑いして「嘘つけ」と返すしかない(笑) そんな映画の主人公。当然ながら、善悪二人のキャラも際立って「男前」。 荒過ぎる捜査手法も正義のためなら何のその。例え出世が遅れようとも、周りに煙たがられようとも、事件解決のためなら無人の荒野を突き進む刑事・リー。 悪人として生きようと「仁義」だけは忘れない。レイプされた女の復讐に手を貸し、舎弟の面倒は最後まで看る、人間的な麻薬密売人・トン。 カーク・ウォンは、観客が善悪どちらの男に感情移入すれば良いのか迷うほど、そのキャラクターに魅力的な肉付けをし、個性溢れる男に作り上げている。 映画は彼ら二人の見せ場を同等の配分で描きながらクライマックスの銃撃戦へと雪崩れ込んでいくわけだが、ベタ過ぎる熱血キャラの熱血ドラマをたっぷり見せつけられた上での二人の対決。 これが盛り上がらないわけがない。 香港映画の銃撃戦と言えば、まずジョン・ウー、次にジョニー・トー。だが、実はこのカーク・ウォンも隠れた名手。演出がかった銃撃戦を得意とする二人に対し、こっちはより写実的な描写が特徴。この最後の銃撃戦でも、ショットガンの連発で立ち込める白煙と刑事たちの使用する短銃の火花の差にそれが顕著。ここら辺の特効を実銃のそれと同じく施すところが、「香港ノワール」の監督たちと大きく違うところ(ジョン・ウーならそんなこと気にしないし、ジョニー・トーならそもそもショットガンを使わない)だろう。 しかし、この銃撃戦の迫力は本当に凄い。前述のショットガン連発もそうだが、車輌への着弾シーンなんかも含め、映画的な興奮を存分に味わえる仕上がり。そう言えば前半に用意された銃撃戦がイマイチだったのは前振りだからなのか。どちらにせよ、最後にこれを用意してくれてたならば充分にお釣りがくるけど。 余韻を味わえる結末まで含め、伊達に「骨太刑事ドラマ」なんて呼ばれてるわけじゃないな、と納得したのを覚えている。 ダニー・リーには、チョウ・ユンファと組んだ「友は風の彼方に」&「狼/男たちの挽歌・最終章」と言う傑作がある。けど、俳優ダニー・リーとしての代表作は正直この作品だと思う。プロデューサーとして自身が定着させた「実録犯罪モノ」が流行ったせいもあるが、この時期の彼はやたらと「熱血刑事」を演じていた。だが、その演技と映画自体の完成度が完璧にシンクロしたのは、この「野獣特捜隊」だけだろう。 因みに、監督のカーク・ウォンにとっても本作は代表作と言える。ジャッキー・チェンと組んだ「新ポリス・ストーリー」も個人的には大好きな映画だが、やはりこのジャンルの映画の主人公としてはジャッキーよりダニーの方が人物に説得力を与えられるし、何より悪役の描き方や、二人の男の対決と言うドラマ性は、圧倒的にこちらが上。 二人の映画人の代表作と呼べる本作。 観る価値は、ある。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
野獣特捜隊

原題
重案実録0記/ORGANISED CRIME AND TRIAD BUREAU

上映時間

製作国
香港

製作年度

公開日
-

ジャンル