野性の少年

L' ENFANT SAUVAGE/THE WILD CHILD

86
野性の少年
3.9

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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(8件)

不思議40.0%知的40.0%切ない20.0%

  • kih********

    2.0

    野生を演技・演出した記録風の映画

     有名な『アヴェロンの野生児』の記録を映画化したもの。教育学部の学生だった時、「教育とは何か」という講座で読まされた。教育“原論”とでもいえる扱いで、考えさせられることの多い著書だった。すなわち、教育されないとどうなるかということを「野生」で見せて、教育が必要というものだ。  これが映像化されているというので見たのだが、少なからず失望した。「野生」を「演じて」いるのだ。記録ではなく再現演技なのだ。どこまで正確な再現なのかということを検討する(それは想像することでしかないが)の方が、この映画の提起ではなかろうか。  一度教育されてしまった子どもに野生の子どもを演じさせることは基本的に不可能なことであって、その無理な演技は却って誤解させてしまう。考えても見よ、二足歩行すらできない野生をどう演じたらいいのだ。手を前足にして走り回ることを敢えて演じなければならないか。この弱々しい四足疾走が見ていて悲しい。  人間性を育てるための、人間味あふれる闘いや、感情のコミュニケーションの記録はこれでいい。しかし、それにしても、原書の「記録」が動画ストーリーになる時に、どれほど正確なものであったか、これにも検討が必要だ。  自然科学の記録とは違う。成長や教育の記録は、動画になると脚色を加えたくなる。家族の微笑ましい成長記録はそれでいいが、記録の再現には余程の注意が必要だ。この記録映画には、遠景で撮るか、ボカシを入れるかを考えるべき。少なくとも顔を中心にクローズアップすべきではない。

  • Kurosawapapa

    4.0

    少年はアントワーヌでありトリュフォー自身

    この映画は、フランソワ・トリュフォー監督による、実話を基にした1969年のモノクロ作品。 博士役でトリュフォー自身が出演しており、 トリュフォーの横顔を多々垣間見ることのできる作品になっている。 ======= フランス中部で、森で育った野性の少年が発見される。 少年はパリの聾唖研究所に送られ、白痴との診断を受けるが、イタール博士はこれに反対。 自宅に引き取り、生活の術を一から教えていく。 ======= この映画は、なぜトリュフォーがこの題材を取り上げたのかに着目すべき作品。  “愛” または “子供” をテーマに映画を作るトリュフォー。 トリュフォー作品に出てくる子供はトリュフォー自身の投影であることが多く、 この映画の “野性少年” も、おそらくそう。 親からまともに育てられず、 真っ当な生き方を知らず、 社会から疎外され、、、 野性少年は、そんな子供のアレゴリーに思え、 このテーマは、同じトリュフォーの「大人は判ってくれない」に通じるもの。 アントワーヌ・シリーズの主人公アントワーヌも、トリュフォー自身の投影と言われている。 == アントワーヌ・シリーズ == 「大人は判ってくれない」〜「二十歳の恋」〜「夜霧の恋人たち」〜「家庭」〜「逃げ去る恋」と続く、アントワーヌの成長を描いたシリーズ。 ================ そしてアントワーヌを演じたのが、トリュフォーの分身ジャン=ピエール・レオ。 つまり、トリュフォーの映画には、 「トリュフォー」=「アントワーヌ」=「ジャン=ピエール・レオ」という観念があり、 さらに本作の「野性少年」も同一と見ることができる。 よって本作は、アントワーヌ・シリーズの姉妹作と言えるだろう。 冒頭の「 ジャン=ピエール・レオのために 」という字幕は、  “教育と愛なくして人間は生きられない” というメッセージを、 映画や現実、全てに発したのだと思われる。 トリュフォー映画は、即興を多用、枝葉を増やし、作品を膨らませるのが特徴。 しかし本作は、史実を描いた “固定化” されたストーリー。 自由奔放なトリュフォー映画からすると、かなり異色に感じる。 野性少年を演じたのは、南仏で発見されたジプシーの少年ジャン=ピエール・カルゴル。 四つ足で走り、 突然 噛み付き、 落ち着きなく体を揺らし、 本当に野生で育ったかのような演技。 本作は、少年が人間らしさを獲得していく物語だが、 一方で、少年を文明に導くイタール博士(トリュフォー)の物語にもなっている。 博士の必死の教育と、家政婦ゲラン婦人の無償の愛は、 「大人は判ってくれない」で描かれた無理解な大人たちとは対照的。 少年の 眼差し を描いたラストは、  “人間は 人間との繋がりがあってこそ生きていける” そんなメッセージを感じさせる。 スピルバーグは、このラストを見て感銘、 「未知との遭遇」で、宇宙船のタラップ昇っていくリチャード・ドレイファスを見送る学者役に、トリュフォー起用を決めたそう。 1、驚きの史実 2、トリュフォーとしては異色 3、強いメッセージ性 この3点において、 自分は大きな衝撃を受けた作品です! (Francois Truffaut:No9/20 ) 今作の監督キーワード:「主人公への自己投影」

  • 一人旅

    4.0

    言葉の重要性

    フランソワ・トリュフォー監督作。 森で保護された野性の少年に対する教育の過程を描いたドラマ。 研究者は家政婦と二人三脚で少年を教育する。保護されたばかりの少年は土汚れで真っ黒で、頭を左右に振り続けるなど落ち着きがない。歩き方も二足歩行ではなく四足歩行だ。近づく人間には警戒心を露わにし、その姿は人間より獣に近い。そんな野生児を研究材料として、また人間社会に適応できるように言葉や生活のルールを少しずつ教えていく。少年の生い立ちや境遇こそ違うが、似たような映画にヴェルナー・ヘルツォーク監督の『カスパー・ハウザーの謎』がある。『カスパー~』同様、本作においても少年に対する教育の鍵となるのは言葉だ。言葉のない世界で孤独に生きてきた少年は物体を視覚的に認識することはできても、物体を論理的に理解できない。だが、物に言葉を与えれば意味が生まれ、解釈や思考が可能となる。言葉の重要性が少年の行動の変化を通じて示されるのだ。研究者の言葉(文字)を理解し、指示された通りに行動できるようになった際に見せる少年の目つきは驚くほど知的で、最初の頃の野性的な面影はほとんど失われている。人間の可能性と、教育の可能性を感じさせる作品だ。

  • どーもキューブ

    4.0

    トリュホーの愛の野生児

    1970年白黒作品、脚本、監督、出演フランソワトリュホー。監督10本め。 フランスの新しい映画の流れを作ったヌーヴェルバーグの旗手。 トリュホーの極めてパーソナルな作品と噂高い本作。ワーナー/MGMからDVDは発売されていますが、今回ワーナービデオ鑑賞。 トリュホー自ら出演した、本当に思いいれの強い作品に感じます。私にはまさしくトリュホーが、自分自身を慰めているような、もしくは、冷静に思い返しているような行為にも見えましたね! 本作の博士役をトリュホーが演るのを見て、若きスピルバーグがトリュホーに出演依頼したのが「未知との遭遇」のあの助演につながります。 物語は、実際にフランスで発見された「アヴァロンの野生児」。野生児ヴィクトールに「教え」をほどこす博士イタールに監督トリュホー。 世話人ゲラン夫人とともに過ごすドラマ。 まるでさながら、トリュホー版「奇跡の人」のようでした。教え、教えられ、速記記述して彼を人間に近づけるようにそっと寄り添い、時にムチを与えドラマは、進みます。 トリュホーの素晴らしいカッティングも魅せてくれます。 リズミカルな中盤のヴィヴァルディの調べと教えのカッティングがさえます。 映画はどこか物足りずに静かに幕を閉じます。トリョホー自身、このエンディングにあまり満足してないようです。 その後の野生児とゲラン婦人の事実をつげるべきだったと語っています。 博士は、政府の援助がきれると、研究をやめて、ゲラン婦人が育てていったそうです。30半ばで野生児は死んでしまいます。 トリュホーは、俳優にこの役をやらすと愛深くやるのを嫌ったそうで自ら冷静にやったそうです。そして、やりたかったんじゃないのかなと思います。 本作をなぜかジャンピエールレオーに懐古的に捧げているのがその証拠です。 トリュホーも演じながら、処女作「大人はわかってくれない」でトリュホーの分身であるジャンピエールレオー少年に演出をつけるディレクション姿を何度も想起したそうです。 トリュホー自身、私生児、脱走、兵役拒否、素行不良、貧乏等々不遇なティーン時代を過ごしています。それほどトリュホー自身で演じたかったように見えます。 教育をあまり受けれなかった自分自身への姿を野生児に託しているようにさえ思えてなりません。 トリュホーが野生児に手に手をとって、ゆっくり淡々と導くラブな「手添え」にあたたかい「ラブ」を感じました。 人間の能力は、ゆっくりでも開花し、進む。 そこにラブがある限り。 そんな見えないメッセを感じました。 トリュホーが演じる野生児への愛ある教育、教えとはいかに?

  • cow********

    5.0

    JPLに捧げる

    J・M・Gイタール「アヴィロンの野生児」の映画化です。 ジャン・ピエール・レオーに捧げられたこの作品。 ヴィクトールとなずけた少年は、 そう、アントワーヌ・ドワネルを演じたジャン・ピエール・レオーそのものなんです。 狼に育てられたと思われる少年を文明に導く姿は、 トリュフォーが、ジャン・ピエール・レオーと共に過ごした日々に対して、トリュフォーなりの“愛”の表現なのではないでしょうか。 「大人は判ってくれない」から、 愛を教える大人になったトリュフォー。 さりげない仕草から、優しさ溢れるとてもいい映画です。 また、トリュフォー、ジャン・ピエール・レオー好きな私にとって、 とてもたまらなく好きな映画なんです。 スピルバーグは、この映画を見て、 「未知との遭遇」の出演をトリュフォーに依頼したそうです。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
野性の少年

原題
L' ENFANT SAUVAGE/THE WILD CHILD

上映時間

製作国
フランス

製作年度

公開日
-

ジャンル