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屋根の上のバイオリン弾き

屋根の上のバイオリン弾き

FIDDLER ON THE ROOF

181

kih********

4.0

辛い話だが、慣れてもダレてもいけない話。

 ユダヤ人の苦しみ(流浪・迫害・虐め)についてはこれまで何本もの映画で観ている。延べ時間にすれば数十時間分になるだろう。ある程度客観的に見ることもできるようになった。それは一種の“慣れ”でもある。そこに、このような3時間もの長尺になると、ちょっとしたダレさえ感じるのだから、これは問題だ。  牛乳屋の親父さんに共鳴する。家族を守る“主”なのに、娘たちが次々に自分の守りから離れて行く。その寂しさはどれだけのものか。家族全体が社会から疎外されている。そんな中で家族からまで離反されてしまっては、主の立つ瀬はなかろう。それは、屋根の上でバイオリンを弾くようなものだ。危なっかしい事この上ない。見ていられない。  そう、ユダヤがテーマの映画はまともに見ていられない。それを、目を背けないでまともに見せるというのが映画人たちの力量なのだろう。美しく(景観も音楽も)描いているものの、本作もまた、神経をピリピリして観るのは疲れる。だけど、慣れてしまってもいけない。

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