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やぶにらみの暴君 (1952)

LA BERGERE ET LE RAMONEUR

監督
ポール・グリモー
  • みたいムービー 7
  • みたログ 17

4.10 / 評価:10件

許されざる作品?

  • bakeneko さん
  • 2009年10月2日 15時40分
  • 閲覧数 815
  • 役立ち度 9
    • 総合評価
    • ★★★★★

アンデルセンの「羊飼い娘と煙突掃除人」を下敷きに、「天井桟敷の人々」のジャック・プレヴェールが脚本を書き、ポール・グリモー監督の代表作として(そして宮崎駿の「ルパン三世・カリオストロの城」のモデルとして)有名な、
アニメ史上に残る名作「王と鳥」の、
“ポール・グリモーに無断で編集したバージョン”であります。

えー、一般的に名作映画には、多くのバージョンが存在します(駄作にもありますが誰も興味を持ちません)。
それは、元来映画を創る際には、まず作り手が自由に製作した後に幾つかの変更=、
1、R-18制限等の客層の限定解除の為のシーンの選択―なるべく多くの観客に売る=R条件を外す為に、残酷&お色気描写の削除をします。
2、(一日に何回廻せるかという)上映時間の設定―長くなると1日の興行収入が下がります(最近は何部作かにして、数倍儲ける方法も多用されています)。
3、封切り前の観客反応テストによる結末の選定―最もその国で受けが良いバージョンにする為、複数のエンデイングがあることが有ります。
―等の経済的な効率を考えた処理が出資者サイドを中心として行われるからであります。映画監督にしてみれば、“自作を切り刻まれる”訳ですから、当然嬉しくなくて、監督&アーチストが自分で作品を管理出来る自前のプロダクションを設立したりするのもこの辺りに理由があります。

そして、監督が創ったままの“デイレクターズカット”バージョンを多くのファンは“これこそが本来の作品だ!”と優先する訳なのですが、ここで時々不思議なことが起こります。
つまり、“デイレクターズカットよりも編集版の方が出来が良くなっている”ことが起こるのであります(人に依って意見は異なりますが)。
例えば「ニューシネマパラダイス」、「ブレードランナー」、「未知との遭遇」、「ダンスウィズウルブス」等は、初回公開版の人気もなかなかのものなのであります。

で、本作は特に“監督がまだ完成したと言っていないのに共同製作者のアンドレ・サリュが勝手に編集したバージョン”なので、ポール・グリモーを始めとした正統な作品(「王と鳥」)製作者サイドからは“鬼子扱い”されている映画なのであります。

しかしながら、「天井桟敷の人々」のスタッフ等、当時のフランス映画人の水準は完全版制作時よりも高かった為に、「やぶにらみの暴君」は素晴らしく面白い作品となってしまっています。そして、「王と鳥」と「やぶにらみの暴君」は別の作品と言えるほど多くの相違点が有るのであります。

つまり、正統派「王と鳥」に比べて、
結末シークエンス、
カットバック等の演出、
(御話)全体のトーンとテンポ、
に多くの相違点が見られますし、
特に、
アテレコ:ピエール・ブラッスール、セルジュ・レジアニ、アヌーク・エーメと言う豪華さ!
音楽:ジョゼフ・コズマ!
となっていて、これは本作が優っているのであります。

従って「王と鳥」は、娯楽性&メッセージ共に素晴らしい大傑作なのですが、本作「やぶにらみの暴君」もアニメ史から抹殺するには“とてももったいない”作品と言えます。

もし出来ることなら、“生存権”が付与されて、一般に鑑賞出来る様になって欲しい全世代にお薦めの傑作アニメーション映画であります(このレビュー消されちゃうかなー)。

詳細評価

物語
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