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やぶにらみの暴君 (1952)

LA BERGERE ET LE RAMONEUR

監督
ポール・グリモー
  • みたいムービー 7
  • みたログ 17

4.10 / 評価:10件

コッチのDVD化も希望

  • すかあふえいす さん
  • 2014年11月29日 21時17分
  • 閲覧数 500
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

今回は1979年にリメイクされた「王と鳥(Le Roi et l'Oiseau)」ではなく、1952年公開の「やぶにらみの暴君(La Bergere et le Ramoneur)」についてレビューしたいと思う。

「王と鳥」も悪くないけど、やっぱり「やぶにらみの暴君」ほどの魅力はない。

宮崎駿が「カリオストロの城」を製作する際にそのベース・オマージュを捧げる対象にもなった事で知られるこの映画。

「王と鳥(王様と幸運の鳥)」では城を遠く望む荒野で鳥が挨拶する場面から始まるが、「やぶにらみの暴君」は城の遠望、赤い垂れ幕でシルクハットを被った鳥が挨拶をする場面から物語は始まる。
この鳥は、雄弁に語り続ける狂言回しであり、王に反旗を翻す騎士でもあるのだ。

赤い垂れ幕があがると、やぶにらみの暴君こと城の王が“狩猟”をする場面がはじまる。
自動で動くイスにふてぶてしく腰掛け、横には子犬を従え、周りには彼を守る黒ずくめの衛兵が居並ぶ。衛兵はみんな同じ顔に“鍛えられた”異丈夫たちだ。
一方、冒頭で挨拶を披露した鳥は「狩猟の犠牲者ここに眠る」という感じの墓に黙祷を捧げ、王の城へと飛び立つ。
可愛らしい合唱を披露する小鳥たちは、シルクハットの鳥の家族でもあるのだ。
王が猟銃で撃ち殺そうとする小鳥をさっと助け出し、王を象った彫刻の上で高らかに王を罵ってみせる!
王も天空を我が物顔で飛び回る鳥を忌々しく睨み付け、引き金を引く。衛兵も短筒をブッ放しまくる。
城には小鳥を捕まえる、そして人間を“捕まえる”罠も仕掛けられている。

機械仕掛けのリフトで移動し、1999階もある高い城塔に君臨する王。気に喰わない事があれば、手元の“お仕置き”ボタンで奈落の底へと突き落とす。
デスラー「ガミラスに下品な男は不要だ」
とにかくこの映画、衛兵が落ちれば王も盲目の演奏家も羊飼いも落ちて落ちて落ちまくる。

高い城塔は、闇夜に不気味にそびえ立つ。
「王と鳥」は細かい書き込みが尋常じゃありません。
「王と鳥」では衛兵が睨みを効かせていたが、「やぶにらみの暴君」では衛兵が寝静まった夜(城を守る奴が全員布団で寝ちゃってどうすんだ)に事件は起こる。

権力で何でも意のままになると思い込む王だが、流石に二次元の中に居る羊飼いの女の子には手を出せないようだ。
その横に並ぶ煙突掃除の少年にも、彼は睨み付けるだけで手を出さない。
ところが、その絵の方から次元の壁を抜け出し、三次元の世界へと来てしまうのだ!
経験豊富そうな馬に乗った賢者、そして王自ら描いた王の肖像画まで動き出す。
煙突掃除からの“プレゼント”を顔面に受け取る。
書き手そっくり、創造主である本物の王から王位を“剥奪”してボッシュート。
カエルの子はカエルであった。
呼び出される衛兵たちはどうやってあのポールを一気に昇っているのだろうか。自力だとしたら凄い跳躍力。
暖炉は、自動消火をしてまで若き恋人たちを“逃がす”。
王に成り代わった絵の中の王は「望む!強要する!命令する!」の号令と共に捜索にあたらせる。

特殊な飛行機から“落下傘”を開いて降りてくる衛兵たち。
その傘は、王から下される処刑を回避するためにも使われる。
王が後を去った部屋で、その罠を回避すべく高速でステップを踏む衛兵の姿がシュール。衛兵の「お慈悲を・・・」の言葉を聴いてか聴かずか、静かに後を去っていく王の姿もまた何とも言えない。

アヒル姿の水上バイク、白い鳥が作り出す“彫刻”、突然現れ歌いだす船の船頭、ムササビだかコウモリのように飛び回る衛兵、地下都市で太陽を望む人々、鍾乳洞に眠る巨大ロボ。
巨大ロボの暴れ振りが凄い。地下都市を破壊し、刑務所も白い煙をまきあげて粉砕してしまう。
羊飼いを“脅す”シークエンスは冷やりとする。

煙突掃除がヤケクソになって王の顔に落書きをする場面は爆笑。
「王と鳥」では、本格的な工場みたいな感じだったっけか。
地下都市に眠る獅子や黒豹、虎、白クマたちは胃も心も飢えていた。ライオンがイメケンすぎる。
音楽に“魅せられ”、二足歩行で踊り、決起して大行進する獣たち!
観客の誰もが思った「鳥ってあんなんだったかしら」というセリフをおばあさんが代弁してて笑った。
結婚式場になだれ込む獣たち。
獣もロボットも「悪い奴らじゃない。扱い方次第さ」のセリフがグッとくる。
良いも悪くもリモコン次第、操縦桿を奪い取り王を“吹き飛ばす”!城を守るためのロボットが城砦で暴れまくる何とも皮肉な図。王が築き上げた人々にとっての悪夢の塊が、灰燼と化し王にとっての悪夢の光景になるのだから。

物語はうなだれるロボット、首だけになった王の像、そして記念撮影で幕を閉じる。

詳細評価

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