素朴で地味なタッチ
- rup***** さん
- 2015年12月5日 0時30分
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ウェストヴァージニア州とケンタッキー州の境界の川を挟んで対立するハットフィールド家とマッコイ家の争いという実話を基につくられた物語で、マッコイ家の娘ロザンナとハットフィールド家の息子ジョンジが恋に落ちるという「ロミオとジュリエット」を思わせる内容の作品です。
ディズニーの「メイク・マイン・ミュージック」の冒頭にあった『谷間のあらそい』(銃で殺し合う描写が子供の教育上よろしくないということで、現在販売されているソフトではカットされています)がまさにこれと同じようなシチュエーションを描いたエピソードでしたね。
ロザンナを演じるのは、ゴールドウィンが本作でデビューさせたジョーン・エヴァンスですが、ヒロインとして鮮烈デビューといえるようなスターオーラがなく、あまりパッとしない印象です。目が据わったような表情をみせることが多く、どこか陰のある雰囲気なので、翌年の「われら自身のもの」で演じたアン・ブライスにライバル心を燃やす妹役のほうがずっと個性を発揮できていたように思います。
一方、ロザンナが恋をするジョンジを演じているのはファーリー・グレンジャーで、自信たっぷりの俺様キャラでロザンナを熱烈に口説きます。ロザンナも村のお祭りで蜂に刺された毒を吸い出してくれたジョンジのことが忘れられなくなり、夜に密会し、ジョンジが半ば強引に彼女を自分の家へ連れ帰ってしまう辺りは、ちょっと「掠奪された七人の花嫁」のような雰囲気を感じました。
マッコイ家の主をレイモンド・マッセイ、ハットフィールド家の主をチャールズ・ビックフォードというベテラン2人が演じているので、重厚感という点では両家のバランスが取れています。
とりわけ、ビックフォードが争う2つの家の一方の家長を演じているとどうしても「大いなる西部」を連想してしまいますが、本作では、山で狩猟を生業としている方の家の長なので、「大いなる西部」でバール・アイヴスが演じた方の役柄に近いです。
また、ハットフィールド家の鼻つまみ者マウンツをリチャード・ベイスハートが演じてトラブルメーカーとしての嫌らしい存在感を見せてくれています。
美しい主題歌も流れてきますが、全体的には何かこう決め手となるものが欠けているように思いました。若い2人のロマンスを話の中心に持ってきているのがゴールドウィン作品にふさわしいという感じはしましたが。
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- ロマンチック
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