ここから本文です

チャドルと生きる (2000)

DAYEREH/THE CIRCLE

監督
ジャファル・パナヒ
  • みたいムービー 33
  • みたログ 44

3.86 / 評価:14件

イラン女性の抑圧された性

  • 一人旅 さん
  • 2017年7月3日 0時03分
  • 閲覧数 493
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

第57回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞。
ジャファル・パナヒ監督作。

テヘランを舞台に、複数の女性が送る一日を描いたドラマ。

イラン映画界を代表するジャファル・パナヒ監督による社会派ドラマの傑作。イランの首都テヘランを舞台に、さまざまな事情を抱えた複数の女性の姿を描く。

本作の主な登場人物は全員女性であり、画面の主役がある女性から別の女性へと次々バトンタッチされてゆく。ある時には仮釈放中に故郷を目指す女性が物語の主役となり、またある時には堕胎するため刑務所から脱走した女性が主役となる。そのようにして女性たちは画面上で自然にバトンタッチされながら繋がれてゆき、やがてそれは“イラン女性の一生”という一つの大きな円を形成してゆく。原題“The Circle(=円)”が示す通り、イランの女性は社会が定める抑圧の円の中に完全に封じ込められているのである。その実態を暴くことこそがパナヒ監督の狙いであり、同時にイラン女性の沈黙の叫びを世界に向けて代弁している。なぜ世界に向けてかと言うと、イラン社会を批判する内容である本作は本国イランで上映禁止処分を受けているからである。

テーマは“イラン女性の抑圧された性”。ご存知の通り、イスラム社会では女性の自由が大きく制限されている。それは大国イランでも例外ではない。本作ではイラン社会の女性差別的実態が虚飾なしに暴かれる。ある高齢女性は産まれた孫が女の子であることを聞かされひどく落胆する。仮釈放中に故郷を目指す若い女性は身分証もない上に男性家族同伴ではないためバスの切符すら簡単には買えない。またある女性は道端でタバコを吸おうとした所、タバコ売りの男性から「こんな所で女がタバコを吸っていたら面倒だ」と言われる。未婚のまま妊娠した女性は堕胎するため看護師の友人の元を訪ねるが、男性家族の許可がないと手術は受けられないと断られてしまう。またある女性は貧困を理由に幼い娘を捨てようとする。未婚のまま女で一つで子どもを育てることはイラン社会では不可能なのである。普通だったら両親や親類がシングルマザーを支えるべきものだが、イラン社会ではそうした女性は一族の恥と見なされ追い出されてしまう。イランの女性は一人で生きていくことすら許されない。

女に生まれたがゆえに、死ぬまで男性に対する従属的生き方を強いられるイラン女性の悲しみがひしと伝わる。まるでドキュメンタリーのようにリアルな視点で綴られてゆくイラン社会の冷たい現実に言葉を失うのだ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ