「ヨーロッパのアン」
- hoykita194 さん
- 2008年12月7日 11時58分
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1915年。アヴォンリー。
ハリファックスでの5年間の教員生活に終止符を打ち、夏の休暇を過ごすために、アヴォンリーのダイアナの住まいをたずねる。
ギルバートの病院での勤務の関係で、ニューヨークへ。
大衆小説を扱う中堅の出版社で、編集の仕事に携わりながら、自分の小説の執筆をつづける。そこで売れっ子の冒険小説作家ジャック・ギャリソンと出会う。
ニューヨークを引き払い、あばら屋になってしまったグリーン・ゲイブルズを買い取って、新生活を待つ。
結婚式を終えるやいなや、ギルバートは、ダイアナの夫フレッドを追うようにして、志願兵としてヨーロッパ戦線に旅立つ。
ギルバートへの手紙が、宛先不明で戻ってくる。
アンは、ギルバートを探すために、赤十字の看護婦を志願してヨーロッパに渡り、フランスの野戦病院での勤務に従事する。
全体は、大きく二つに分けられる。アンが、所在不明のギルバートを探しに、ヨーロッパに渡る前と後で分けると、全体の見通しがよくなる。
前半は、アヴォンリーとニューヨークが中心なので、それなりに従来のアンの世界だといえる。
後半は、なんと舞台がヨーロッパに移ってしまう。フランス、イギリス、ベルギー、ドイツと、ギルバートを探して、アンはめまぐるしく動き回る。
フレッドもギルバートも、当時のカナダの世論に追い立てられるように、兵役を志願し、ヨーロッパ戦線へと向かう。ドイツとの戦闘に参加しない者は、文字通り非国民扱いである。当時のカナダ社会は、ほとんど戦争に取り憑かれたような雰囲気だ。
それは、不気味なほどである。
あの「グリーン・ゲイブルズのアン」の世界は、後半完全に戦争一色に塗りつぶされる。それは、当時のカナダ国民が戦争に取り憑かれたのとまったく同じだ。
なぜ、後半こういう映画になってしまうのか、理解不能だ。制作側の何らかの特別な事情があったのかもしれない。ストーリーは、完全に壊れてしまっている。何の脈絡もなく、ただ思いつきで、行き当たりばったりに展開するだけだ。当然、感動のエンディングからは、程遠い。
この映画の公開は、2000年。「赤毛のアン」が86年。「アンの青春」が88年。「アンの結婚」は、カナダのテレビ番組としての制作が97年。この年、ミーガン・フォローズは68年の生まれなので、29歳。
原作のアンは、1866年の生まれらしい。この映画「アンの結婚」の冒頭で、アンがアヴォンリーの村に帰ってくるのが、1915年。なんと、アンは49歳になってしまう。こりゃ、どう考えてもヘンだ。
映画の中で、ハリファックスでの5年間の教員生活、と出てくるので、大学卒業後5年と考えると、20代後半ぐらいが妥当である。すると、ミーガン・ファローズの実年齢が、この映画での、ほぼ実情に近いということになるだろう。
女性としての魅力を増してきれいになった、29歳のミーガン・ファローズに、☆4つ。
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