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X-MEN2

X-MEN2

X2/X-MEN 2

125

hick

5.0

ネタバレ一貫したテーマ高まったエンタメ。傑作続編

X-MEN2 《前作から一貫したテーマ性、高まったエンタメ性。続編として傑作》 【テーマ】 前作ではミュータント内のイデオロギーの違いを強調していたが、今作は冒頭の「歴史的にも人間は未知の物と共存する事が苦手」のセリフの通り、人間側に焦点が当たる。共存を含め『マイノリティーの運命はマジョリティーの手の中にある』というテーマを感じた。また、劇中のナイトクローラーのセリフ「人間たちを憐れに思う。自分の目で見ること以外、何も知らずに生きていくから」もテーマの根底にあり、『マジョリティーが運命を握っているのだが、奴らの視野が狭すぎる』という悲壮感をひしひしと感じた。彼の外見差別もそうだが、ボビーの家族や無知な大統領しかり。 そして、前作ラストでマグニートーがプロフェッサーに言った「人間が突然、夜中にお前の学園を襲いに来たらどうする?」が今作の直接的な伏線になり、その時のプロフェッサーの答え「憐れむよ」も今回の『憐れな人間たち』というテーマへの伏線なのかなとも感じた。 【プロフェッサーとマグニートー】 今作はミュータントを守るという「共通の信念」に焦点が当たっていた。そもそもお互いにとってミュータント同士の内輪もめは本意では無く、種を守る事が最優先事項であるという善と悪の協力関係は、公開当時とても新鮮で衝撃だった。それまで「正義に対抗するのが悪」という記号化されたヴィランしか見てこなかった自分にとって、マグニートーは全ての行動が信念と一致し、これも彼の「正義」なんだと子供ながらに思った記憶がある。X-MENと意見が合おうが合わまいが、信念のためなら手段を選ばないマグニートーの過激さが更に魅力を増す。 【ストライカー】 その共通の信念を脅かすのが人間側を代表するストライカー。ミュータント排除のためにミュータントを使って計画を遂行するという理不尽さ。プロフェッサーを利用した「ミュータント虐殺」からのマグニートーによる「人間虐殺」。それを止めようとするX-MEN。ストライカーとマグニートーのゲームに板挟みにされるようなX-MENたちがとても不憫で、三つ巴の関係性を上手く表している。 【思春期描写】 ボビー(アイスマン)の家族へのカミングアウトが切ない。母親が言った「Have you tried not being a mutant? ミュータントにならないように努力しなかったの?」のセリフは典型的な視野の狭いマジョリティーを表しLGBT問題のメタファーだろう。その一連の出来事を横で見ていたパイロも、自分を否定されたように感じ、その上生きているだけで警察に通報されてしまう。彼の溜まった怒りが爆発するシーンも共感でき、マジョリティーが生んでしまった「はぐれ者」にも見える。好きな人にも触れられないローグを含めたこの若い3人は、マイノリティー代表として葛藤を見せてくれる影の主役だった。 【演出】 群像劇として素晴らしく、中盤まではダムに集まる口実としてストーリーラインが数本に分かれているのだが、どのストーリーもテーマ性に沿った大小の要素を含んでいて上手いと思った。通常ならボビーの家のシーンなんてカットも出来るが、テーマ性を最優先にプロットを組んでいるのかもしれない。 アクション色が弱かった前作の反省からか、今作はアクションシーンもパワーアップ。特に冒頭のナイトクローラーはマーベル映画内でもトップクラスのアクションシーン。音楽もメインテーマ中心に若干ヒーローチックかつキャッチーなものになり、エンタメ性も上がった印象を受けた。 【重なる偶然…】 ただ、墜落危機に助けに来るマグニートーやジェットを操縦して救助に来るローグなど、X-MENが偶然命を救われるシーンがあり、そこは個人的に好みでは無かったなー。 【ラスト】 大統領に対し「あなたの選択を見守っていますよ」と人間側に未来を委ねた事も、人間側に焦点を当てた今作のテーマにぴったりな結末だった。同時に、マイノリティー問題を解決できるのは当事者では無く、マジョリティーである事を表したシーン。観客に投げかけるかのような演出にも感じた。 【総括】 続編という恩恵をフルに生かし、前作でブライアン・シンガー監督自身が描いてきたテーマをより掘り下げた理想的な続編だったと思う。更にエンタメ性も両立させた今作は、全てのレベルが前作以上の傑作だった。彼がやりたかった事が一番表現できている作品にも感じた。

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