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ナビゲーター ある鉄道員の物語

mya********

4.0

ネタバレ安全は金では買えない

労働者の不満たらたらな映画…と言う見方をしてしまえばそれまでだが、ケン・ローチ監督は100分足らずの映像の中に『安全とは金で買えるのか?』『労働者を締め付ければ大抵の問題はそれなりに解決するのか?』を語りかけていたと思う。 サッチャー政権の政治批判だけではなく、民営化がもたらした矛盾、労働者のモチベーションが下降する様子や良心の退廃をつぶさに描いている。 お気楽に仕事をしているかのように見えていた鉄道マン(保線管理員)。 日本で言うところの公務員であった彼らは確かに呑気な面があり、残業もつけ放題。残業代で薄給の穴埋めをしていたようなところがあったのだが、その呑気さと一般企業においては少々余剰人員とも取れる人員配置が彼らに心のゆとりを持たせ、結果として安全をもたらしていた。 民営化により一方的なリストラと給料の締め付けや有無を言わさない雇用条件が重く圧し掛かり、かと思えば一方でまだまだ使えるはずの使い慣れた機材を壊し、新型の機材を導入する。 まるで今の当社を観ているような感じで胸が痛くなってしまった(苦笑) 当社も安全には十二分に注意しなければいけない業界なのだが、ともすると安全は二の次になっている感は否めない。 利益優先、効率優先も結構だが、それを追求するあまりにささいではあっても見えないところで安全がなおざりになってしまう…という構図はどの国でも変わらないようである。 ただし、この映画はそういった退廃ばかりを描くのではなく、ちょっとしたジョークや労働者同士の軽口などもうまく入れており、笑いどころも用意されている。その辺のリアルさもケン・ローチ監督はウマイな…と思わせる。

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