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失われた少年 (1953)

LITTLE BOY LOST

監督
ジョージ・シートン
  • みたいムービー 1
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4.00 / 評価:1件

シリアス演技で魅せるビング・クロスビー

  • rup***** さん
  • 2018年11月25日 23時33分
  • 閲覧数 99
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

ウィリアム・パールバーグ&ジョージ・シートンのプロダクションによる作品で、パールバーグが製作、シートンが脚本及び監督を担当するという王道パターン。
本作の翌年に再び2人が手掛けてグレース・ケリーのオスカー受賞作となった「喝采」とも共通している『子供の喪失が主人公に大きな影を落とす』ストーリーが描かれています。

「喝采」と同じように、ビング・クロスビーがシリアスな演技を披露していて、「珍道中シリーズ」などでお馴染みのおちゃらけた芝居との振り幅の大きさが実感できますが、ビング特有のユーモラスな雰囲気もところどころで観られます。

第二次大戦の勃発直前に通信記者としてパリを訪れたアメリカ人男性ビル(ビング・クロスビー)が現地のフランス人女性リザ(ニコール・モーレイ)と出会って恋に落ち、結婚。
ドイツが勢力を強めるなか、息子が生まれたものの、リザは産後の体調が思わしくなくて国外へ出られず、従軍したビルはダンケルクで負傷し、ロンドンの病院へ。その間、ドイツ軍の侵攻によりパリは陥落。
ビルは、反ナチスのレッテルを張られてフランスへの入国を許されずにいたところ、リザが地下組織の一員として働いていることを知ることに。

リザが歌で仲間に情報を伝えているところへナチスが踏み込んだ様子をビルがラジオを通じて知ることになる間接描写が良いです。

のちに再びパリを訪れたビルは、リザが殺害されたことを知らされ、リザが生んだ息子ジョンの行方を求めてある孤児院を訪ねると、ジャンという名の自分の息子と思しき少年を紹介されます。
果たして、ジャンは本当に自分の息子なのか。彼と一緒に過ごす中でその真相を得ようとするのですが・・・。

観ていて思ったのが、本作を逆サイドから描くと、イングリッド・バーグマンが主演して2度目のオスカーに輝いた「追想」に似たシチュエーションになるということ。
「追想」は皇女アナスタシアらしき女性を発見したユル・ブリンナーたちが彼女を皇女に仕立て上げて、祖母である皇太后に引き合わせるのですが、本作のビルはその皇太后の立場に置かれていると言えます。

ビルはジャンの記憶に『ある矛盾点』を見いだしてしまうのですが、その『記憶』を植え付けた女性の思いがその子にとって少しでも良い生活環境を与えてあげたいという善意の現われであるというところに孤児たちの置かれた境遇の酷さを感じるとともに、このような孤児を生んだ戦争の非情さをも浮き彫りにしています。

是枝監督の「そして父になる」でも描かれていたような、血の繋がりにこだわるか子供にとっての幸せを考えるかでビルが懊悩する姿も細やかに描かれていて、ビングも真実味のある演技を見せていました。
また、ジャンを演じたクリスチャン・フォーカードという子役は、大きな目をしていてその表情が独特。何か常に不安を抱えているような顔つきで、本作の作風にピッタリです。

ただ、ぬいぐるみを使ったラストの扱いについては、ちょっと口当たりよくまとめすぎているかなという感じもします。
以前にパールバーグ=シートンが手がけた「聖処女」(監督はヘンリー・キングですが、脚本はシートン)の聖母マリアや「三十四丁目の奇蹟」のサンタクロースのように、信じる者にとっては実在するというようなあいまいさを残しても良かったのではないかという気もしました。

シリアスな内容の作品ではありますが、ビング・クロスビーが主演なので、ビングが歌うシーンもあって、ニコール・モーレイとのデュエット場面なんかは楽しい雰囲気なのですが、少年文学の主人公を歌詞に織り込んだ『The Magic Window』のような静かな曲のほうが印象に残りました。


<戦争映画を収録したパブリック・ドメイン版のソフトで鑑賞しましたが、映像がカクカクと乱れるノイズが散見されたのは残念でした>

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