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8人の女たち

8人の女たち

8 FEMMES/8 WOMEN

111

一人旅

3.0

“女”という生き物

第52回ベルリン国際映画祭銀熊賞。 フランソワ・オゾン監督作。 大雪に覆われた邸宅で起きた殺人事件の真相に迫るミステリー。 フランスの鬼才フランソワ・オゾンが劇作家ロベール・トマの戯曲を映画化した作品で、名優カトリーヌ・ドヌーヴやイザベル・ユペールに加えてエドワード・ヤンの『カップルズ』で鮮烈な印象を残したヴィルジニー・ルドワイヤンといったフランス出身の豪華女優陣による競演が見所となります。 辺りを雪に覆われ外界から孤立した邸宅を舞台に、一家の主を刺殺した犯人を巡って8人の女(家族6人+使用人2人)が激しい舌戦を繰り広げる姿を通じて、“女”という生き物の嘘と欲望と罪悪を浮き彫りにしています。作品の作りは『殺人ゲームへの招待』やアルトマンの『ゴスフォード・パーク』、近年ではタランティーノの『ヘイトフル・エイト』と同じ系統の“密室殺人ミステリー”ですが、本作は登場人物全員が人には言えない秘密を抱えたワケあり女性であるとともに、一人ひとりを個別にフィーチャーした独唱ミュージカル仕立ての作風にオゾン監督の独創性を見出すことができます。 作劇的には淡々としており、戯曲の映画化の典型パターン=“室内での会話劇”がお話の中心となる会話量多めのミステリーですが、クライマックスにおける壮大な種明かしはどんでん返し系の驚愕性に満ちています。ビビッドな色合いの50年代風衣装は人物ごとにテーマカラーを明確に分けており映像的な見栄えがありますし、ユペールがそれまでの印象をガラリと変えた身なりで階段を下りるカットは『サンセット大通り』を想起させます。

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